そこから食事に誘うとOK、映画に誘うとOK。2度のデートを終えて、ふみおは自信を深めた。
そこで、3回目のデートとして水族館を提案。デートの最後にはレストランでコース料理を楽しむ計画も立て、そこで「結婚を前提に、真剣に付き合ってほしい」と告白するつもりだった。
ところが、運命の瞬間は思わぬ形で訪れた。デザートが運ばれてきたタイミングで、ふみおが決めゼリフを口にしようとすると、みうが先に話し始めたのだ。
「今日のお食事は、私にごちそうさせてください。何度も誘っていただいたので、はっきりお伝えしたほうがいいと思って……。実は私、婚約していて、来年結婚するんです」
その言葉に、ふみおは言おうとしていたセリフを飲み込んだ。3度のデートや楽しい時間の積み重ねを、ふみおは“恋愛が進展している証拠”と思っていた。
しかし、みうにとっては仕事の延長線上の交流にすぎなかったのだ。
恋愛の現場でよくあるケース
恋愛の現場では、本人だけが「交際中」と思い込んでいるケースが少なくない。
アプリなどの婚活の現場でも、自分は「結婚できる」と信じて交際をしていたのに、相手はただの遊びだった。もっとほかにいい相手が見つかって乗り換えた――そんなことが頻繁に起こっている。
この3人に共通するのは、相手の言動や状況を“うまくいっている”とミスリードし、関係の実態を確認せずに進めてしまった点だ。心理学的には“確証バイアス”による認知のゆがみといえる(自分が信じたいことや期待していることに合う情報ばかりを集め、都合よく解釈する傾向のこと)。
生活圏の近さ、男女の関係になっている、誘えばデートに応じてくれるなどを“交際の証拠”だと錯覚し、事実よりも期待を優先してしまった。
結局、3人とも結婚相談所での婚活を決意した。そこに登録しているのが“結婚”を目的にしている人たちだったからだ。
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