相手は一流大学を卒業し、大手企業に勤務していたまさゆき(33歳、仮名)。高収入で背も高く、容姿も整っていた。異業種交流会で知り合い、そのあと個人的に食事に誘われ、よりこはどんどんと心を奪われていった。
当初は、週1でデートをしていた。レストランで食事をしたり、映画を観たり、その後にホテルに行ったりと、恋人らしい時間を過ごしていた。まさゆきは多忙を理由に、LINEの返信が遅いこともあったが、「忙しい中でも会ってくれている」と、よりこは都合よく解釈していた。
しかし、1カ月過ぎた頃から次第に会う頻度が減っていった。
2週間に1度、やがて1カ月に1度。それでも、“彼は忙しいから仕方ない”と思い込み、結婚に向けてのステップを期待し続けた。
ところが、半年経ったある日、彼から「付き合おう」と告げられたことが一度もなかったことに気がづいた。
最近では、こちらからLINEを入れても2、3日後に返信が来るのみ。「温泉旅行に行かないか」と誘ってみたが、「今は仕事が忙しくて、旅行に行く時間は取れないな」と、つれない返事だった。
旅行で長時間一緒にいることで、将来の話に触れてみようと思ったのだが、それもうまくはぐらかされてしまった。
最後のデートから1カ月半ぶりに会い、夕食をともにしたときに、勇気を出して聞いてみた。
「結婚についてどう思っている? 私は年齢的にも付き合ったらその先に結婚を考えているんだけど」
すると、まさゆきは驚いたように言った。
「え? 僕は結婚なんて今は考えられないよ。仕事でステップアップしないといけない時期だし。そっか、よりちゃんは結婚も考える年齢だよね。だとしたら、僕らはもう会わないほうがいいかもしれない」
よりこが半年間“恋人”だと思って過ごしていた日々は、彼にとっては、ホテルにも行ける都合のいい年上の女友達という感覚だったのだ。
週末を一緒に過ごす仲でも…
恋愛関係における「思い込み」は、しばしば本人にとって大きな落胆をもたらす。35歳のえみ(仮名)の体験もその一例だ。
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