「KYな人たち」にどうにも心がささくれ立つ…そんな時に思い出したい小津安二郎の《驚きの言葉》

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そんなときは、あなたにとって「comfortable」なシーンを思い浮かべるクセをつけてみてはどうでしょうか。雨上がりの気持ちのいい青空、可愛い子どもの顔、いつか行ったハワイの海、思い出の映画のワンシーン。そうすれば、「わざとジャマしている」なんて感じることはありませんよ。

私はライフワークとして映画製作を手掛けています。私が敬愛する映画監督の1人に小津安二郎がいます。終戦後、彼が戦地から引き揚げ船に乗るとき、こう言ったそうです。それも明るく、乾いた声で。

「俺はあとでいいよ」

まわりからは驚きの目で見られたそうです。彼はどんな「comfortable」を心に浮かべていたのでしょうか。「われ先に」の重い空気が和らいでいく光景が目に浮かびます。

小津監督は作風通りの人柄だったとのことです。

「お先にどうぞ」「ありがとう」には力があります。明るく、軽く、乾いてはいますが、「力持ち」です。

「待つ」も「待たせる」もイライラの種

最近は、待ち合わせのときの緊張感がなくなりました。携帯電話の普及がそうさせたのかもしれません。私も若いころは、約束の時間に相手の姿が見えないと、「時間を間違えたかな」「場所が違ったかな」と不安になったものです。

キョロキョロしたり時計を何度も見たりして、無事に会えるまで落ち着かない時間を過ごしました。約束の時間に大幅に遅れそうになると、連絡が取れませんから、気が気ではありません。電車の中でも、走り出してしまいたいと思うほどでした。

スマホ全盛の現代は、ちょっと遅れても電話をすればいいやと、軽く考えてしまう人も多くなってきています。そんな風潮からかどうかはわかりませんが、仕事でも遊びでも、相手を待たせても平気でいるという迷惑な人がいます。

約束の時間に10分、20分遅れるのは当たり前。やっと来たと思ったら、「どうも」のひと言ですませてしまう。

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