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塾に行けない子どもに居場所を届ける――東京・下町の小さな教室から広がるNPO「キッズドア」の取り組み、困窮子育て家庭の叫びを国へ提言

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今年の夏休みに向けては、全国3361世帯から利用申し込みがあった。助成金などで運営する学習支援活動と異なり、ファミリーサポートは基本的に寄付金で運営している。夏休みや冬休み前になると、クラウドファンディングを実施する。

「行政の取り組みは進んでいるが、まだ不十分。物価高騰で貯金を使い果たした家庭もある。活動をやめると亡くなってしまう人がいるかもしれないのでやめられない側面もある」と渡辺氏は語る。

企業の協力も増えている

キッズドアではファミリーサポートを通して、困っている利用者の声を拾っている。アンケートの回答率は6割に達し、国への政策提言などに生かしているという。丁寧な活動報告を通し、2024年度には287社・団体からの協力があった。純粋な寄付に限らず、英語の学習会に企業からボランティアを出すなど、企業側も手を動かす取り組みが増えている。

ただ活動を続けるうえでは、NPOならではの難しさにも直面する。従業員はボランティアではなく給与を得て勤務しているが、一般企業と比べると年収で見劣りしてしまう。「もうすぐ子どもが生まれるから」と、辞めていく従業員もいたという。人材への投資は後回しになりがちだが、活動の改善につながるだけに悩ましい問題だ。

「行政が直接かかわりづらく、かつビジネスとしては成り立たない部分をNPOが担っている」と渡辺氏は力を込める。今後もキッズドアに通うことで、子どもへの貧困の連鎖を食い止める手助けを続けていくことが目標だ。

以下では、キッズドアの概要や企業との連携などを紹介する。

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