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塾に行けない子どもに居場所を届ける――東京・下町の小さな教室から広がるNPO「キッズドア」の取り組み、困窮子育て家庭の叫びを国へ提言

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キッズドアが手がける学習支援には2種類ある。

1つ目の塾に似たタイプでは、週1回2時間、数人の生徒が集まり、先生が横に座って勉強を教える。2つ目は「居場所型」と呼ばれており、平日17時ごろから子どもが集まり、ボードゲームなどもしつつ勉強して軽い夕飯を食べてから帰宅する。

勉強室には誰でも使える参考書が充実し、おやつも準備されている(編集部撮影)

最初は塾に似た学習会を始めたが、家に勉強する場所がない子どもが多かった。週1回では足りず、毎日来る場所として居場所型も開始したという背景がある。

オフラインでは、東京を中心に66教室を構える。利用希望者の面接では源泉徴収票の確認などを行い、事前登録する流れとなっている。ここ数年間はオンラインでの学習支援も増えており、北海道から沖縄まで2025年のオンライン参加者は300人を超える。

分数のできない中学生も、丁寧な指導で成長

学習支援に通うのは勉強へのモチベーションが低い子の方が多く、勉強道具を持ってこないケースも少なくない。とくに中学生になると勉強が苦手でも経済的な事情で塾に行けず、親から言われてしぶしぶ通う子どもも多い。家にいてもすることがない子どもにとっては、「友達が通っている塾に似た居場所」という存在になっている。

中学生で分数の計算ができない子どももいるが、マンツーマンや1対2で丁寧に勉強を教わるうちに理解できるようになってくる。親や教師ではなく、勉強や相談相手となる大人との時間は、子どもの将来観にも影響を与えることになる。

学習支援のほかにも、子育て世帯向けに食料品などを送付するファミリーサポートなどの事業も手がける。この事業は、2020年に「コロナ禍で働けず収入がなくなり生活できない」という声が上がったことで開始した。

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