売国奴に告ぐ! 中野剛志、三橋貴明著
タイトルはいささかどぎつく本文も言葉遣いは過激だが、内容はまじめな日本経済論の対談である。小泉政権以降の新自由主義と構造改革、昨今はTPP推進と増税を主張してデフレ深刻化を促進させる人々が糾弾される。デフレが23年も続いているのに、インフレ対応経済学を信奉する学者、官僚たちのおかげで、公共投資抑制や構造改革、外需重視などという間違った処方箋が適用され続けてきたためデフレから脱却できないという指摘で、これが最大の論点だ。
対する著者たちはデフレを解決することが最優先課題だとし、内需拡大こそ重要で、TPPなどは百害あって一利なしと容赦ない。日本は世界で最も恵まれた立場にあると力説し、政治をまともなものにすることがカギだとする。日本の「売り先」はグローバル資本だ、IMFに出向している財務官僚が対日批判をやらせている、官僚がデフレや構造改革を好む理由など興味深い指摘が少なくない。(純)
徳間書店 1470円
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