10年後に残る仕事とは何か。生成AIと向き合い、中学生が自分のやりたいことに向き合う──デジタル庁で開催された体験型ワークショップ

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ただ、憧れの仕事を目指して勉強しても、そのカテゴリー自体が消滅するかもしれない。また、分野のエキスパートには生成AIやロボットを管理するという仕事が残るかもしれないが、今からその仕事を始めるというエントリークラス、ジュニアクラスなどの仕事は激減するだろうというのも悩ましい問題だ。

しかし、今回、このワークショップに参加して、「自分たちの将来は、生成AIの進化を踏まえて考えなければならない」「そのためにも生成AIをうまく使う必要がある」ということを知っただけでも参加した中学生は大きな学びを得たといえるだろう。

休憩時間と終了後に参加者のうちの何人かに話を聞いてみた。

「AIが間違ったことを言うのは知らなかった」

まずは、日常的に生成AIを使っている生徒に、どんなことに使っているのかを聞いた。「ゆうき」さんは、宿題でわからないことを聞いたり、友達と自分たちの老後の姿をシミュレーションして遊んだりしたことがあるという。

「生成AIも間違ったことを言うんだ」というのが学びだったとのこと。「マツ」さんは、「たとえば、増税か、減税か?というようなことで、自分と違う意見をAIに生成してもらって、比較して学ぶ」という大人顔負けの使い方をしていた。

今日、どんなことを学んだか聞くと「ホルン」さんは「生成AIが人間っぽい回答をするのに驚いた。間違ったことを言うというのは知らなかったので気をつけようと思う」とのこと。

「みお」さんは「間違ったことを言うのは知らなかった。これからの仕事がどうなるのかわからないけど、自分はダンスが好きなので、クリエイティブな表現などは人間がやらないといけないと思うので、そういう方向に進んでいきたい」とのこと。

総じて「AIが間違ったことを言うのは知らなかった」という感想が多かったので、AIの仕組みとハルシネーションなどが起こる理由などのリテラシー教育が重要になってくると感じた。

デジタル庁 こども霞が関見学デー
話を聞いた参加者のみなさん。左から「マツ」さん(中学2年生)、「ゆうき」さん(中学2年生)、「ホルン」さん(中学2年生)、「みお」さん(中学2年生)(写真:筆者撮影)

生成AIの教育利用については文科省がガイドラインを示しているものの、ごく一部の先進的な学校以外では進んでいないのが実態だろう。今回のワークショップのようなレクチャーを多くの中学生が受けられるようになることを期待したい。

村上 タクタ 編集者・ライター

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むらかみ たくた / Takuta Murakami

iPhone、iPadなどアップル製品を中心に扱うガジェット・テクノロジー系編集者・ライター。カリフォルニアでのWWDCやiPhone発表会には2016年頃から継参加。趣味の雑誌の編集者として、’92年から約30年で約600冊の雑誌を作ってきた。バイク雑誌『ライダースクラブ』に携わり、ラジコン飛行機雑誌『RCエアワールド』、海水魚とサンゴ飼育の雑誌『コーラルフィッシュ』、デジタルガジェットのメディア『flick!』『ThunderVolt』の編集長を務める。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー。バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、庭での野菜作り、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。娘はロンドン、息子は台湾在住。

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