「猫に良かれと思った飼い方がストレスになることも」≪猫が本当に喜ぶ家≫を作る”猫ファースト建築士”の猫愛あふれる生き方

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前編でも紹介したように、今、猫との暮らしを助ける設計事務所やハウスメーカー、工務店が増えている。建築業界でもネコノミクスの波が来ているのだろうか。

清水氏の見解では、「大きな収益が見込める事業ではないため厳しいのでは」とのこと。

近年は材料費・人件費も上昇しており、完全オーダーメイドの猫ファースト住宅を実現するにはそれなりのコストがかかるのが実情。

キッチン侵入防止扉は清水氏の力作。最近は建具職人が少なくなっており、格子扉を製作するための人件費・資材の価格が上がっている。そこで1枚板をくり抜いて格子状に見えるよう製作し、コストを抑えた。また引き戸は自動ロックがかかるため、器用な猫が開けてしまうということもない(撮影:梅谷秀司)
(撮影:梅谷秀司)

清水氏によれば「多くの場合、依頼主が当初考えていた予算の倍程度の見積額になる」という。

しかし、予算が合わないからといって、断ったり、安易にスケールダウンをしたりしないところが建築事務所ネコアイのポリシーだ。

その代わり、予算に合わない依頼者には、既製品を組み合わせてDIYで設置する方法を提案することもある。DIY経験がない人には指導もするという。

「自分の知識や経験の8割は猫住宅をしたい同業者などに教えている」
(清水氏)

猫に適した住環境を広めたい

なぜ収益につながらない仕事も引き受けるのか。

それは清水氏の生き方そのものが猫ファーストだからだ。

「ノウハウを抱え込むと自身の仕事にとっては有利かもしれないが、猫に適した正しい住環境ががいつまで経っても広まらないことになる」

“猫仕様住宅”の文化が広がれば、いずれ資材の量産化などでコストも下がっていくはず。猫のため、そして飼い主のため、“声なき要望”を読み取る清水さんの挑戦は続いている。

透明な足場では猫の姿を下から観察できる(撮影:梅谷秀司)
*参考文献
・城戸佐登子,林谷秀樹,岩崎浩司,Alexandre Tomomitsu OKATANI,金子賢一,小川益男,獣医疫学雑誌,No.2,77-87.,2001『犬と猫における長寿に関わる要因の疫学的解析』
・アニコム『家庭どうぶつ白書2024』 
圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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