ジム・ロジャーズ「トランプ関税発動で自由で公正なグローバル経済体制は完全に崩れ、史上最長の上昇相場の終焉が迫っている」
ロジャーズ氏は、トランプ大統領についてはかねて「予測不可能だ」と言っています。彼には哲学や政治理念がないのでわからないということなのです。
確かに保護貿易を実行すると、政治家は彼らの支援者を助けることができ、一時的には票が取れるかもしれません。しかし、結局、関税のツケは国民が負担をしなければなりません。歴史を見ればわかることですが、「一国の経済を活性化させるには自由な貿易を行う必要があり、関税はなるべく設けないほうが望ましい」と言います。
「経済ブロック化→貿易摩擦→世界大戦」への危険な兆候
しかし、トランプ大統領は、7月31日、日本を含む多くの国々や地域に対して新たな関税率を定める大統領令に署名し、日本への関税率は15%となりました。一時期は「25%を課す」などと発言していたわけですから、それから比べれば関税率は下がりましたが、これまでは0%に近い関税だったため、日本経済にとっては大きな負担となりそうです。また、医薬品や半導体などの分野別の関税がどうなるかによっても、世界経済に及ぼす影響への懸念が高まっています。
「みなさんは1930年代のことは覚えていないかもしれないが、当時も各国が『自国の利益を最優先』に考え、行動していた。その結果、多くの問題が生じ、最終的には第2次世界大戦という惨事に至った。どの国も『自分の国を一番によくしたい』と考えて行動したが、結局、どの国も一番にはなれずに、すべての国が負のスパイラルに引きずり込まれることになった」
「当時は、各国が借金を増やし、自国の通貨価値を下げ、貿易を制限しようとした。現在の世界経済が置かれた状況も、1930年代と似ていると言わざるをえない。まだ『完全に1930年代の状態と同じになった』というわけではないが、そうなりうる要素はいくつも出てきている。アメリカ発の保護主義によって、当時のように『経済ブロック化 → 貿易摩擦 → 世界大戦』へとつながった流れが、現代でも再現される可能性を警戒すべきだ。アメリカの孤立主義や、世界のブロック経済化は、非常に危険な兆候と見るべきだ」
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