「教養」というと、日本では「雑学」と混同されている印象があります。なんとなく「社会人として知っておかなくてはいけない雑多な知識」として捉えられているところがある。
一方、欧米には「リベラルアーツ」と呼ばれる学問・教育体系があります。これはもともと古代ギリシャで誕生したもので、「人間を束縛から解放するために必要な学問(教育)」という位置づけで発展しました。
その根底には、職業につながるような専門的な知識や技能とは別に、社会・自然・人文科学の幅広い知識を身につけ、視点を増やすことで人間は考える力を獲得し、真に解放されるという理念があります。
たとえば「保守」と「リベラル」は何が違う?
『全人類の教養大全』が提供しているのは、間違いなく「雑学」ではなく「リベラルアーツ」の意味での教養です。もちろんそれなりのボリュームはありますが、読めば確実に世の中の見え方が変わるでしょう。
たとえば、「保守」と「リベラル」は何が違うのか? 「減税」は本質的に誰を利するものなのか? 直近の参議院選挙でも話題になりましたが、はたしてどれだけの人が、これらを本当に理解したうえで議論していたのかは疑問です。
あるいは「民主主義」と「資本主義」の本質とは? 世界中で「宗教」はどんな役割を果たしてきたのか? などなど。
本書は、この人間社会に関する広範な知識をまとめているだけで、「これが正しい」とはいっさい書かれていません。答えを出すには、知識をもとに自分で考える。
それをした人同士ならば、教養という共通言語で、立場や背景の違いをも超えて実のある対話ができる。そんな力が身につくことこそ、本書の醍醐味でしょう。
私自身、まだまだ世の中については知らないことだらけなので、とても勉強になりました。
(後編に続く)
(取材・構成/福島結実子)
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