「メンタルが弱くて落ち込みやすいため、気を遣って叱れない」Z世代、実はこう考えている

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そのことに関連して紹介されているのが、ヒアリングを行うなかで語られたという若手社員のエピソードである。

「入社当時、仕事の進め方がわからず、上司や先輩に相談しようとしたが、具体的なフィードバックが得られなかった。そのため、自分のやり方が合っているのかわからず、不安を抱えながら仕事をしていた。しかし、あるとき、先輩が『この部分のアイデアはすごくいいね』と一言声をかけてくれたことで、安心感を持てるようになったというものです。それ以来、彼女は「次はもっと工夫してみよう」と積極的に仕事に取り組むようになったそうです。(119ページより)

たしかにフィードバックが得られない環境では、なにが正しくてなにが悪いのかがわからず、モチベーションも低下しがちだ。しかし、適切なフィードバックを受けることができれば、自分の強みや改善点を理解し、主体的に動けるようになる。上の世代でも、似たような経験をしたことがある方は多いのではないだろうか。

また、心理的安全性が確保された職場では、積極的に意見を発信していくことができ、Z世代は創造的なアイデアを生み出す存在となるでしょう。逆に、ミスを過度に恐れる環境では、失敗を避けようとするあまり挑戦を控えてしまうことも少なくありません。また、「派閥があると中立的な立場でいられず、自分らしく働けないことがストレスになる」という声も聞かれました。(120ページより)

こうした意見を聞くと、上の世代にも反省すべき点があることがわかる。

大切なのは歩み寄り

X世代、Y世代に続いてアメリカからその呼び名が浸透していったZ世代は、1996年から2012年に生まれた世代のことを指す。年齢的には2025年現在で13〜29歳の若者ということになり、これから世代形成、子どもを持つなどライフステージが分岐していくタイミングである。ビジネスパーソンとしては、若手社員として現場の最前線で働く世代だ。

つまり少子高齢化が進む現在、この世代といかに気持ちよくコミュニケーションをとれるかが、今後の組織運営や社会の発展に大きな影響を与えることになる。

などというと乗り越えにくい壁であるようにも思えてしまうかもしれないが、決してそうではないだろう。Z世代はZ世代で、「上の世代の人たちが自分たちをどう見ているのか、どうやってコミュニケーションをとっていけばよいのか」を知りたがっているからだ。

つまり大切なのは、互いの立場や価値観、考え方などを理解する努力を重ねながら、互いの話を聞き、理解を深めていこうとする姿勢と行動だ。本書は、そうした過程をサポートしてくれる資料として、大いに役立ってくれることだろう。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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