【セリカやシルビア、プレリュードが作り出した懐かしのジャンル】昭和の時代にブームとなった「スペシャリティカー」の歴史を振り返る

異色の存在としては、マツダ「コスモAP」もスペシャリティカーの1台に加えていいだろう。
コスモといえば、ロータリーエンジンをはじめてマツダが搭載した「コスモ・スポーツ」があるが、コスモAPはそのあと、1975年に誕生した2ドアクーペである。それでもスペシャリティカーと呼ぶのは、車体側面のフロントウィンドウとリアウィンドウの間に、別枠の窓を持ち、これが単なるクーペとは違った造形の特徴として、独特な雰囲気があった。ラジエターグリルと左右のヘッドライトが明確に分けられた顔つきも、遠目に見てコスモAPであることを教える存在感をもたらしていた。
発売から2年後には、リアウィンドウをノッチバックとした「コスモL」が追加され、リアクォーター部にレザーを施した姿は、アメリカのリンカーンやキャデラックに似た上級さをもたらした。
コスモAPのAPとは、アンチ・ポリューションの意味で、ロータリーエンジンで排出ガス規制を達成したことを表している。ロータリーエンジンの静かさと滑らかさに加え、とてつもない加速を味わわせるスペシャリティカーであった。
アメリカにおけるスペシャリティカーブーム

そもそも、スペシャリティカーの祖は、アメリカのフォード「マスタング」といわれる。これは1964年の発売だ。
今日のマスタングは、マッスルカーの1台と見られているが、そのはじまりは、アメリカ車でも小型に分類されていた「ファルコン」をもとに、より精悍な外観の車体を載せることで独自性を発揮した。まずハードトップとコンバーチブル(オープンカー)で発売された。1年後に、ファーストバックといってリアウィンドウが傾斜したクーペの車体が追加されている。
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