「伝わらないのは相手が悪い」と思っているのは残念な人?――聞く人を混乱させない! 説明上手になる2つのメソッド

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アナウンサー友達とタクシーに乗っていたときのこと。カーラジオから、プロ野球ゲームの実況中継が流れていました。

しばらくしたら、突然、彼女が「このアナウンサー、実況があまり上手じゃないね」と言ったのです。当時の私はまだ若手で、実況のうまい、下手の違いがわかりませんでした。そこで、「なぜ、そう思うのか?」と、彼女に尋ねました。

彼女は、「タクシーに乗って、かれこれ10分以上たつのに、いまだにこのゲームのスコアが何対何で、どっちが勝っているのかがわからない」と言うのです。確かに、実況アナウンサーは、どちらが勝っているのかを伝えていませんでした。

ラジオを聞いている人は、必ずしも番組の冒頭から聞いているとは限りません。しかもラジオは映像がないぶん、アナウンサーによる実況と解説者の情報を頼りに、ゲームの状況を把握するしかありません。

ですから、通常、実況アナは、「6回の裏、ドラゴンズの攻撃。3対2でドラゴンズが1点リードしています」というように、イニング数とその表/裏、攻撃しているチーム名、そしてスコアの途中経過を状況に応じて伝えます。

現在の状況、つまり「現在地」を伝えてくれることで、途中から参加した聞き手が迷子にならずに理解できるようにしているのです。

私も大学で講義をしていると、「学生たちが、キョトンとし始めたな」と気づく瞬間があります。このようなときは、経過をまとめる意味で「ここまでのところはわかりましたか?」と投げかけます。

すると、さっきまでウトウトしていた学生も、首を縦に振ったり、かしげたりと反応してくれます。

それでも反応が鈍かったら、「ここまで◯◯について説明しました」と、簡単にまとめた上で、「次に△△についてお伝えします」と、現在地を伝えるのです。

話の現在地を示したいとき、すぐに使える便利なまとめ言葉です。

聞き手を置き去りにしないテクニック

ほかにも、説明上手な人は、現在地を示す方法として「1つめ、2つめ、3つめ」というフレーズを活用します。これは、聞き手に話の流れや構成を伝えるテクニックで「サインポスティング(signposting)」とも呼ばれます。いわば“道しるべ”です。

「理由は3つあります。1つめは……です。2つめは……です」

と続ければ、「今、2つめだから、あと1つだな」と、聞き手のほうでも途中経過を確認・整理することができます。この方法で、あなたの会社の製品の特徴を3つに絞ってもいいですし、人気のサービスを上位3つにまとめてもいいでしょう。

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