「伝わらないのは相手が悪い」と思っているのは残念な人?――聞く人を混乱させない! 説明上手になる2つのメソッド

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しばらく黙って話を聞いていましたが、さすがに20分ほど経過したところで「申し訳ありません。ご依頼内容であるシンポジウムのことをお聞きしてもよろしいですか?」と口を挟みました。聞けばその担当者は、関連会社から出向しているとのこと。

担当者にとっては、会社の成り立ちを説明することが重要だったのでしょう。しかし、トレーニングを任される私にとっては、今すぐ知りたい情報ではありません。それよりも早く本題に入ってほしかった。

「ヒマネタ」から伝えていないか?

これは、テレビのニュース番組を例にとるとわかりやすいでしょう。多くのテレビニュースは、ニュース、スポーツ、天気予報の順で構成されます。これらのニュースの中で、一番に伝えられるものが“トップニュース”です。

トップニュースはその日のニュースの中で、視聴者にとって最も重要度、影響力、関心が高いと判断されたものが伝えられます。

例えば、あなたは明日、東京から名古屋へ出張だとします。ところが、大型の台風が日本に近づいている。台風がいつどこに上陸するのか気が気ではありません。進路によっては、新幹線がストップし、名古屋への移動ができないかもしれない。今日中に名古屋へ移動しておいたほうがいいだろうか? と、テレビをつけたところ……、

「こんばんは。今日は、秋を彩る梨の品評会のニュースからお伝えします」と、アナウンサーがにっこり笑っていたらどうでしょうか?

「今、それどころじゃないでしょ!?」「どうして台風の進路から伝えてくれないの?」と思うはず。あるいは、その瞬間、チャンネルを変えてしまうかもしれません。

でも、ご安心ください。実際には、テレビニュースでこのようなことはありません。なぜなら、ニュースを届ける相手(=視聴者)に対して、何を一番に伝えたらよいかを、スタッフが必死で考えているからです。

説明も同じです。あなたが伝えたいことは、必ずしも相手が知りたいことではありません。特に、ビジネスの場で「相手に行動を起こしてもらう」には、相手が知りたいことを伝えることが大切です。

とはいえ、伝えたい項目が多数ある中で、何が相手にとってのトップニュースかを見極めるのは、最初は難しいかもしれません。

その場合は、いきなり1つを選ぶのではなく、3つくらいに絞ってみるところから始めてみてはいかがでしょうか? そして、慣れてきたら、そこから相手のトップニュースを見極める。相手の知りたい! を知ることが、説明上手の第一歩です。

イラスト
相手にとってのトップニュースを見極めよう(イラスト=村林タカノブ)
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