「アイス売れ筋ランキング」で読み解く5年連続市場拡大の裏側、猛暑で人気の≪定番&新作≫のブランド戦略とは?
近年は、モノづくりとコトづくりの両面から訴求している。
「2024年度は期間限定や数量限定で『クリーミーチョコミント』や『ストロベリーチーズケーキ』など話題性のある商品を発売し、コラボ戦略も積極的に行いました。
同年上期は、“ドラえもんパッケージ”(パッケージや個包装ピノで、ドラえもんの世界観を表現)、下期は、“ピノTVパッケージ”(全国7番組とコラボしてオリジナルテレビ番組を配信)も仕掛けました。いずれも新たな顧客層も獲得できました」(橋川氏)
2025年度も好調で、来年50歳を迎えるブランドの勢いは続く。
「今年4月~6月は前年比101%となっています。発売中の限定品『ピノ き・な・こ』も好評です。話題性のある施策で、『一粒の幸せ』を提供し続けます」(同)
時には“大人”になる「ガリガリ君」
「ガリガリ君」(赤城乳業、1981年発売)は1本100円未満という値頃感で、販売個数は年間約4億本。「永遠の小学生」だが、時には「大人のガリガリ君」で訴求する。
定番品は、1本売りでは「ガリガリ君ソーダ」「ガリガリ君コーラ」「ガリガリ君グレープフルーツ」(希望小売価格80円+税)の3品で、圧倒的に強いのがソーダ味だ。
「昨年度は前年度比109%と好調でした。2025年度は6月中旬まで苦戦気味でしたが、6月後半からの猛暑で盛り返し、前年並みに推移しています」
赤城乳業の岡本秀幸氏(開発マーケティング本部 マーケティング部 マーケティングチーム 課長)はこう説明する。

長年、業界では「最高気温が30度を超えると、アイスの売れ行きはクリーム系から氷菓系にシフトする」と言われてきた。猛暑では、さっぱりした味を好む人が増えるのだろう。
「2023年3月に『ガリガリ君ソーダ』(当時は1本70円)を約20年ぶりにリニューアル。かき氷の氷を粗く削り、大きい氷の割合を増やし、従来よりも爽やかな後味にしたのですがお客さまに好評で、前年比130%と大幅に伸長しました」(同)
今年5月に発売した「ガリガリ君 クリアサイダー」や7月に発売した「大人なガリガリ君 ゴールデンパイン」も好調。イベントの「ガリガリ君ウェルカムサマーフェスタ」(5月に開催)では合計2万本を無料配布した。ブランドの世界観として「何人かでワイワイ楽しむためのコミュニケーションツール」も掲げ、それに見合う施策を実施している。
「小分け食べ」をする人も増えた
コロナ禍でもアイス業界の売れ行きは落ちなかったが、当時は1個売りよりも複数個が入った商品(マルチパック)が好調だった。
最近よく聞くのが「小分け食べ」だ。ランキング3位だった「パピコ」(江崎グリコ)は、「味に加えて、家族や友達と分け合って食べられる形状」も支持されてきた。同社の「アイスの実」は、「在宅勤務の際には“おめざ”として数粒食べられている」とも聞いた。
「チョコモナカジャンボは、約6割が1人かつ1回で食べきりますが、4割が違う食べ方をされます。パキパキと折って好きな時に食べられるのもこの商品の魅力だと思います。(鮮度としてはその日中に食べきることを推奨しています)」(森永製菓の中村氏)
思うように収入が伸びず、さまざまな値上げが続くご時世では、あまりお金をかけない気分転換をする人が多い。日によっては在宅勤務も定着し、職場で同僚と一緒に執務中ではしにくい「仕事の息抜きにアイス」もできるだろう。
近年は値上がりしているが、多くの商品が100円台や200円台で買えるのも魅力だ。今年は6月、7月と記録的な暑さが続いた。人気アイスの売り上げはどこまで伸びるのか。
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