テキスト通話SNSアプリ「Jiffcy」が口コミで急成長。Z世代の配慮文化に応える新SNSの魅力
使用シーンで最も多いのは夜10時頃の自宅だ。「家族に話し声を聞かれるのが嫌」という理由で、自室でこっそりJiffcyを使う若者が多い。次に多いのが通勤・通学時間帯の電車やバス。夕方5時頃と朝7時頃にピークがある。

石黒さんは、1年前に咳が出る風邪にかかり、半年間声が出なかった。「そういうときにJiffcy入れてて良かった」と振り返る。
西村氏によると、難聴者からの支持も厚いという。耳が聞こえない人は音声通話の体験ができなかったが、Jiffcyを使えば電話をしているような感覚でコミュニケーションできる。「電話ってこんな感じだったんだね」という声が寄せられているという。
Jiffcyの特徴は、時間軸が加わることで生まれる独特の表現力だ。打つスピードが速ければ怒っているかハイテンション、遅ければ迷いながら打っている。句読点で間を表現し、打ちかけてやめる様子も相手に伝わる。
大学3年生の鵜飼さんは「喧嘩にならないから」という理由でJiffcyを使う。「LINEだと誤解を与えないように必死。句点をつけたら怒ってると思われるかもしれない」。しかしJiffcyなら、感情のニュアンスが自然に伝わる。

大学生の髙橋さんは「音声通話より表現しやすい」と話す。「しゃべってるうちに『あの』とか『その』とか言っちゃうけど、テキストだと変換で便利な言葉が出てくる」。声を使わずに、むしろ豊かな表現ができるという逆説的な効果が生まれている。
背景にある若者の配慮文化
なぜJiffcyが受け入れられたのか。背景には、Z世代特有のコミュニケーション文化がある。「電話は相手の時間を奪うもの」という認識が当たり前になり、友人への過剰な配慮が常態化している。
未読スルーや既読無視によるストレスも深刻だ。メッセージが何十個もたまった状態が普通で、すぐ返信するとストーカーっぽいと思われるかもしれない。返信タイミングを見計らう緊張感が常にある。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら