テキスト通話SNSアプリ「Jiffcy」が口コミで急成長。Z世代の配慮文化に応える新SNSの魅力
西村氏は「自分の時間と相手の時間を尊重しながら、リアルタイムで双方向の意思疎通を重視するトレンドがある」と分析する。通話は敬遠されるが、同期的なコミュニケーション自体は求められている。相手に配慮しつつ、自分の負担も少ない手段としてJiffcyが選ばれているのだ。

2025年6月、iOS版でグループ通話機能(最大4人)がリリースされた。7月30日にはAndroid版も登場した。グループでも「そこにいる」感覚はそのままに、スピーディーな意思疎通が可能になった。
メディアラウンドテーブルでは、実際にグループ通話のデモンストレーションが行われた。画面には参加者の名前が表示され、誰が今文字を打っているかが一目でわかる。ただし、複数人が同時に入力すると、自分が打っている内容に集中して他の人のメッセージを見逃すこともある。

石黒さんは「打っている最中は見逃すことがあるが、切った後に履歴として見返すことができるので不便には感じていない」と話す。音声のグループ通話とは異なり、消えた会話も後から確認できるのが利点だ。
「Jiffcyで告白、あり? なし?」という質問をグループ通話で試してみたところ、参加者からは「隣にいる感じがする」という声が上がった。1対1の親密さを保ちながら、グループでも使えるようになったことで、用途が広がっている。
今後はスタンプ機能の追加も予定されている。相づちの代わりに使える絵文字が動き、連打やポツポツ押すことで感情を表現できる。悲しい感情の表現が難しいという課題への対応だ。
口コミ中心の成長戦略とマネタイズ
7月8日、穴熊はシリーズAラウンドでの資金調達を発表した。朝日メディアラボベンチャーズ、NTTドコモベンチャーズ、サイバーエージェント・キャピタルなど、大手企業系VCが名を連ねる。政府系のDBJキャピタルやみずほキャピタルといった金融系VCも参画し、幅広い投資家から支持を集めた。
30〜40名規模の組織でシリーズBに向けて準備を進める穴熊。現在はユーザー獲得に注力し、「ひっくり返されないようにする段階」(西村氏)だという。
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