「中国・韓国・ロシアによる乱獲が原因」「中国の数字は信用できない」という声もあるが…。日本で魚が獲れないのは「外国漁船が原因」説の真実

ある全国紙にイカナゴ(コウナゴ)が瀬戸内海(大阪湾・播磨灘)で不漁なのは、温暖化でイカナゴを捕食する魚種が増加したためと出ていました。ところがそのイカナゴを捕食する魚種も含めて瀬戸内海の漁獲量は減っています。実際には資源管理の不備で生態系ごと破壊が進んでいるのです。こういった矛盾した報道が少なくないので社会の誤解が進んでしまいます。
「中国の数字は信用できない」?
よくあるコメントその2
「日本が漁獲量を守っても他国が取ってしまう」
一見その通りに思えますが、国際資源であるサンマの場合、実際の漁獲量を超える大きな漁獲枠が設定されています。昨年(2024年)、日本のサンマ漁獲枠は9万トンで、実漁獲量3万9千トンを大幅に上回りました。枠があっても、そもそもサンマがいないため獲り切れないというのが実態です。
一方、中国・台湾などは漁獲枠13万5千トンに対し14万5千トンで漁獲を切り上げています(1割弱の超過)。ノルウェーサバの枠消化は10%の凸凹は認めています。日本の漁獲枠は資源を守る仕組みとして機能しているのでしょうか。
よくあるコメントその3
「中国の数字は信用できない」
そう思う方もいるでしょう。しかしながら日本と資源を共有しているマサバ、マイワシ、スルメイカなどで少ない数量を申告する可能性は低いです。なぜなら、これから過去の漁獲実績に基づき国別の漁獲枠配分交渉がはじまることが予想されます。その際に実績を過少申告すれば、交渉が不利になるからです。
もっとも、漁獲量が漁獲枠に達するような状況では、ごまかしが起きる可能性があります。厳格なペナルティの設定が必要です。歴史は繰り返します。昨年(2024年)の公海上でのサンマ漁は中国・台湾などが枠に達しました。こういう時は注意が必要です。
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