「中国・韓国・ロシアによる乱獲が原因」「中国の数字は信用できない」という声もあるが…。日本で魚が獲れないのは「外国漁船が原因」説の真実

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「海水温上昇のせい」「クジラが魚を食べ尽くす」「黒潮大蛇行のせい」など、科学的に矛盾を含むコメントは多数ありますが、まずは事象が正しく理解されていない「魚が獲れなくなったのは外国のせいなのか?」について考えます。

なお、これらの要因にまったく問題がないと言っているわけではありません。筆者が強調したいのは、本質的な問題が資源管理制度の不備にあるという点です。

なぜ外国漁船を悪く言わないのか?

そもそも魚が減っているのは、科学的根拠に基づく資源管理が行われていないことが根本的な原因です。根拠がない外国漁船への批判は、日本が「公海自由の原則を主張」してきた漁業の歴史などをたどられたりすると、批判どころか「巨大なブーメラン」がかえってくるでしょう。

歴史は繰り返します。必要なのは科学的根拠に基づく国別漁獲枠の設定です。もちろん EEZ(排他的経済水域)内への侵入など密漁は別問題ですが、日本は他国を非難できる立場にありません。魚が消えていく深刻な問題は、日本を下げるか上げるかという次元の話ではありません。

ちなみに筆者は日本人であり、外国から報酬を得て記事を書いているわけではありません。以下、よく見かけるコメントについて解説します。

よくあるコメントその1
「日本が取りすぎというのは誤り。日本が減らした分を他国が取っている」「公海での中国・韓国・ロシアの大型漁船による乱獲が原因」

もっともらしい主張ですが、瀬戸内海(愛媛県)の漁獲量推移と全国の漁獲量推移を比較すると、どちらもほぼ同じカーブで減少しています。瀬戸内海では中国・韓国・ロシアなど外国漁船は操業していません。もし外国漁船が主因であれば、瀬戸内海の漁獲量はこれほど減少しないはずです。サンマのように外国漁船が関係する魚種でも、俯瞰的に見ると問題の本質は外国船ではありません。

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