迫る「2025年の崖」 ITプロジェクトが失敗する必然。BCG幹部が語る「基幹システム」刷新のポイント

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同社では、RFID(無線自動認識)による在庫管理やセルフレジの導入、ECと店舗を融合させた需要予測・発注最適化などのDX投資が行われている。

ある大手自動車メーカーの製品開発でも、開発責任者が各車種の必要な情報のみを見えるようにする意思決定の仕組みがあるため、大規模なシステム投資で失敗が少ない。いずれも経営層や事業責任者がシステムの本質を理解し、プロジェクトに深く関与することが成功の鍵になるという事例だ。

AI活用には基幹システムの改修が不可欠

――基幹システムの刷新がままならない中で、AI(人工知能)の導入を進められるのでしょうか。

多くの場合、基幹システムという縦軸の対応に追われて、横軸の効率化になかなか本格的な対応ができず、小手先の対応になってしまう企業が多い。これでは、PoC(プルーフ・オブ・コンセプト、概念実証)で終わってしまうケースが多く中途半端な費用がかさむ結果となる。

アウトソーシングのあり方もターニングポイントを迎えている。コストの追求から自動化という流れが進む中、単純な業務を外部にアウトソーシングしすぎると、AIによる自動化が可能な業務が社内に残らない。企業の手元に残るのは、複雑で人にしかできないような業務ばかりとなり、結果的にAIを適用して効率化を図ることが難しくなる。

企業は外部に出している簡単な業務を自社内に取り戻し、自動化を進めるべき。同時に、AIの活用だけを目的とせず、社内の業務効率化と人材のリスキリングを並行して行う必要がある。

これとは真逆の考え方で、基幹システムの改修は直接的な効果が見えにくいものの、長期的な投資として不可欠であることを経営層は理解すべきだ。

※東洋経済編集部では、DX・ITシステム投資に関する失敗事例の情報を募集しています。こちらのアンケートへのご協力をよろしくお願いします。
二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

週刊東洋経済副編集長。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部、解説部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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