人とロボットが共存する街づくり実験、KDDI高輪新本社で開始。レジのないローソンで配送ロボットが社内便を運ぶ未来のオフィスとは
「過疎が進む地方ではドローンによる物流支援などが生活の質を高める手段になる」と喜㔟氏は語り、都市部での成果を地方の課題解決にも展開する意向を示した。
「高輪の特殊事情」をどう全国に広げるか
「なかなか同じ条件の街はないが、どう広げるのか」
この疑問に松田氏はこう答える。「高輪のモデルがそのまま全国展開するとは考えていない」。デジタルツインプラットフォームをOSにして、必要な機能だけを切り出す。オフィスローソンを単体モジュールで他のビルに入れる。既存のカメラにAI分析を後付けしてロボットと連携させる。「今あるカメラをそのまま使ってAI分析をかけることも可能」。
約1万3000人の大規模実証環境を自社で確保できることが最大の武器だ。松田氏は「高輪をイノベーションの発火点として、世界にも発信したい」と意気込む。

ただし課題もある。個人情報の取り扱いについて「カメラ情報は個人が写っているが、個人を特定できる情報は取り除いて活用する。元の情報は即座に捨てる」と担当者が説明した。防犯カメラの映像をAIで分析して属性を判別し、それに基づいてロボットが接近する仕組みで、プライバシー保護と利便性向上の両立は簡単ではない。
成功の判断基準については「その都度成果を公表していきたい」と松田氏は答えたが、明確な回答はなかった。
22年ぶりの本社移転を契機とした取り組みが、日本の都市開発にどんな影響を与えるのか。松田氏が目指す「スマートシティ革命」の真価が問われるのは、これからだ。
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