緩和ケア開始時期の認識の実態については以下のように結論づけていた。
日本緩和医療学会のサイトに「あってよかった緩和ケア」という啓発普及資料が載っている。そこに10年以上前、30代で乳がんと診断された女性患者の体験談が紹介されている。一部を省略しながら紹介する。
この女性患者は初発から4年弱で再発。その翌年、主治医にサイコオンコロジー(精神腫瘍学)と緩和ケアの先生を受診したいと相談したところ、サイコはOKだが緩和ケア「まだ早い」と言われてしまい、「医療者から見ても緩和ケアは終末期のものというイメージが強いのだな」と愕然としたという。
この女性は緩和ケアなどにかかり始めて2年後に進行がん患者となった。このとき初発時に比べ相談できる人がたくさんいて、すでに人間関係もできている信頼できる緩和ケアの先生の存在がもっとも心強かったという。
女性が吐露した心情
現在、緩和ケア科では、痛みのコントロールや治療の副作用のコントロールに加え、症状や副作用のコントロールで緩和ケア病棟に入院し、体調を立て直し、また日常に戻っていくということもさせてもらい(略)、今後どうしていきたいか、どのような最期を迎えたいかを緩和ケアの先生などと話すこともあります。
早い段階から出会って人間関係ができ、信頼できる先生とだから、そういう話ができる、と思っています。「死が怖くない」と言ったらうそになりますが、安心して相談できる医療者の方々や、安心して過ごせる場所があるということはとても心強いです。
緩和ケアは、最期を穏やかに過ごすためだけのものではなく、がんと共に生きる者にとってはなくてはならないものだと思っています。
緩和ケアは決して最後を迎える治療段階での療法にかぎったものではない。がんと診断された時から、その存在を知っておき、時間のある時に専門医をはじめ緩和ケアの医療関連者の話に耳を傾けるこことは、その後の治療や生き方に大きな影響をもたらすだろう。
筆者もスケジュールを見ながらさまざまな講演や説明会、患者交流会などに足を運んで刺激を受けてみたいと思っている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら