がんの激痛で知った《緩和ケア》「決して終末期だけのものじゃない」つらさに寄り添う全貌とは?

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緩和ケアの専門医にじっくりと話を聞いてもらい。薬を処方していただく。これは患者にとっては心強い限りである。今回の入院にあたっても同じチームの先生たちに症状を聞いてもらい、同じように薬を処方してもらった。おかげで日々の苦痛からはだいぶ解放され、こうして病室で原稿を書くこともできるようになった。

抗がん剤の副作用なのか手足のしびれの影響で、キーボードを打つ際に最後まで力が入らず、変換ミスが実に多くなり嫌になってしまう。それでも病室から青空と白い雲のコントラストを楽しみ、セミの鳴き声をBGMにして原稿を書くひとときは何とも言えない充実感を味わうことができる。

緩和ケアの内容は意外と知られていない?

ここである研究論文を紹介しておこう。2017年に関西のがん診療連携拠点病院に指定されていた17施設に入・通院中の患者を対象に行った調査・研究で有効回答数は1981だった。原著名は「がん患者における緩和ケア開始時期の認識と関連要因」(代表著者・山本瀬奈)で、いくつかの設問とその回答は次の通り。

【緩和ケア開始時期の認識】

「がんと診断されたときから」804名(40.6%)

「がんの治療が開始したときから」383名(19.3%)

と6割近くが早期段階での開始を認識していた。

一方で、

「治療が見込めなくなってから」が414名(20.9%)

「わからない」356名(18.0%)

と2割がネガティブなとらえ方で、2割近くが認識不足だった。

【緩和ケアの認知度】

緩和ケアの内容についてどれだけ知っているかという問いには

「よく知っている」は118名(6.0%)

「やや知っている」588名(29.7%)

で、全体的な認知度はそう高くない。

「どちらでもない」285名(14.4名)

「あまり知らない」694名(35.0%)

「知らない」278名(14.0%)

と、全体の半数は「知らない」派だった。

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