この認識にズレがあったと智也さん。仕事好きであることを隠そうとせず、デート中も颯爽としている夏美さんは「ベタベタしたくない女性」だと智也さんは推測。
でも、毎週会っているのだから肉体関係はなくても交際中なのだと思っていた。夏美さんからの問いに驚き、「僕はあなたのことがすごく好きですけど」と回答した。
今度は夏美さんが戸惑う番だった。自分は智也さんのことが好きかどうかわからない状態で相手の気持ちを尋ねていたからだ。「じゃあ、付き合ってみましょうか」と答えるのがやっとだった。
交際が始まってからも夏美さんの心配は消えなかった。大学院卒で大企業の正社員である30代後半の智也さんが婚活市場で需要がないはずがない。「結婚する気がない男性なのでは?」と思った。浮かんだ疑問は聞かずにはいられない夏美さん。「私は人生設計において結婚をしたいと思っている。あなたは?」と質問。すると智也さんは夏美さんとならば結婚したいという前提で、「逆に、いつ結婚したいとかありますか?」と返した。
夏美さんはまたしても戸惑った。自分は智也さんと本当に結婚したいのだろうか。腑に落ちる前に相手の覚悟を問うてしまったのだ。
「1年ぐらい付き合ってお互いによく相手のことを見極めましょう、と言ってしまいました(笑)」
智也さんは「じゃあ、そうしましょう」と淡々と回答。1年後に無事に結婚して子宝にも恵まれて現在に至る。夏美さんは積極的なのに心配性で、主体的なようで受け身でもある。のんびり屋だけど軸はしっかりしている智也さんがちょうどいいのかもしれない。
結婚相手として、100点じゃないところがいい
結婚して娘が2人生まれ、それぞれに育休を取得してくれた智也さんとの生活に夏美さんはようやく深い安心を覚えている。
「夫は会話が楽しいだけでなく、私の愚痴や弱音や悩みもよく聞いてくれます。しっかり共感した上で社会人の先輩としてアドバイスをくれることもあり、私の心の拠り所です。
仕事で辛いことがあっても、『夫に聞いてもらえば大丈夫』と思うことができ、精神的に守ってもらっています。毎日必ず好きな人に会える、しかも家に帰るだけで会える。結婚って奇跡ですね」
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