【日本人の2人に1人が予備軍】30〜40代に多い≪スマホ認知症≫の気になる症状 専門医が指摘「使用時間より使い方に問題あり」

「最近、物忘れが増えた」「集中力が続かない」「人の名前が思い出せない」──その原因は、もしかしたら年齢のせいだけではないかもしれない。
スマートフォンの過剰使用によって脳の働きに支障をきたす「スマホ認知症」が、働き盛りの世代を中心に広がりつつある。デジタル社会を生き抜く私たちにとって、避けては通れない新しいリスクが、静かに忍び寄っている。
そうしたなか、東京・葛飾区の金町駅前脳神経内科は2025年6月、日本初の「スマホ認知症」専門外来を開設。「この国の5000万〜6000万人、つまり2人に1人はスマホ認知症の予備軍といっても大袈裟ではない」と話す院長の内野勝行医師に、スマホが脳機能を低下させるメカニズムやNGな使い方、脳を守るための具体的な対策などを伺った。
世代に関係なく発症する「スマホ認知症」とは?
内野医師によれば、「スマホ認知症」とは、「長時間かつ高頻度のスマホ使用により、脳が処理しきれない量の情報にさらされることによって、物忘れなど認知症に類似した症状が一時的に現れる状態のこと」。加齢による認知症とは異なり、若年層を含むあらゆる世代に発症の可能性がある点が特徴だという。
この症状を“病気”だと誤解してしまう人も多いかもしれない。だが内野医師は、「スマホ認知症は、いわゆる認知症とはまったく別のもので、そもそも病気ではなく、“症状”を表す言葉です」と話す。
「脳のはたらきには、大きくわけて“記憶する(インプット)”と“思い出す(アウトプット)”の2つがあります。認知症は前者の“インプット”する機能に障害が出る一方、スマホ認知症は“アウトプット”のほうに問題が生じます。後者では記憶そのものが抜け落ちるわけではなく、必要な情報をうまく引き出せなくなるのです」(内野医師、以下同)
原因は、スマホから絶え間なく入ってくる情報によって、脳が情報を整理する余裕を失い、「ゴミ屋敷」のようになってしまうこと。特に、思考や判断を司る「前頭葉」と、記憶を一時保管する「海馬」の連携がうまくいかなくなり、機能が低下することで起こるという。
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