元アメリカ国家安全保障局長「トランプ氏の行動は一貫している」。マイケル・ロジャース氏に聞く

6月にイスラエル・イラン間で起きた「12日間戦争」は、米国の空爆で鎮静化した。米オバマ政権や第1次トランプ政権で国家安全保障局(NSA)局長を務めたマイケル・ロジャース氏に、情勢の行方やトランプ政権の軍事戦略について聞いた。
根本的な問題は十分対処されていない
──米国・イスラエルとイランとの停戦合意は、中東地域の安定性にどう影響しますか?
イスラエルによる攻撃と米国による限定的な軍事行動で得られた成果は、イランの核開発プログラムがある程度後退したことだ。私の推測では、数カ月から数年程度遅れたのではないかと考える。

現在、3カ国は「これ以上軍事衝突に進みたくない」という微妙な均衡状態にあるが、イランの核開発をめぐる根本的な問題は十分対処されておらず、これですべて終わったと考えるべきではない。
イランは今、「北朝鮮のように核兵器があれば、違った扱いを受けたかもしれない」と考えているかもしれない。欧米はこれまで核兵器を持つ北朝鮮に対して、直接的な軍事行動を取っていないからだ。一方イスラエルは、イランの核の脅威が解決されない限り、今後も攻撃を続ける準備があるだろう。
──トランプ大統領は、米軍を中東の戦争から引き揚げると言って当選したはずです。介入主義に転じたのでしょうか?
それは米国はいっさい軍事力を使わないという意味ではない。特定の場面や状況、目的によっては軍事力を使うことはありうる。トランプ氏のスタンスは明確で、長期化した継続的な軍事作戦、つまり大規模で地上部隊を必要とするような戦争には関与したくない、ということだ。
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