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ライフ #広がる新しい暮らし方 "廃居"という磁力

"古い建物好き"を唸らせる名建築、どう後世に残していくか。東京・中野《三岸家住宅アトリエ》孫娘が託した継承者、共に描く再生の道

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竣工時の「三岸家アトリエ」。油彩画家で鬼才と呼ばれた三岸好太郎がドイツのバウハウスで建築を学んで帰国したばかりの山脇巌に依頼、自ら図面を描き、1934年に竣工した(撮影/清水襄写真事務所、山本愛子さん提供)
住まいと街の解説者・中川寛子さんが、さまざまな工夫で新たな住まいや仕事場となったり、文化的拠点に生まれ変わっている“廃居”を紹介している連載。今回、取り上げるのは文化財にもなっているモダニズムの名建築、画家の三岸節子邸(東京都中野区)。
全国で名建築の廃墟化が進む中、どう後世へ残していくか。前編では建物の歴史や文化財を後世へ残していくことへの葛藤をレポートした。本記事では建物の継承、そして動き始めた再生への道について紹介する。
【前編】放置された空き家でも「貴重な文化財」、解体寸前だった戦前木造モダニズム建築「三岸家住宅アトリエ」。孫娘が必死に模索する継承

東京都中野区鷺宮の住宅街にある画家、三岸節子のアトリエだった建物。都内でも希少な戦前のモダニズム建築だが、あまり使われない状態で放置され一時は解体寸前に。

それをなんとか残したいと孫娘の山本愛子さん15年以上、奮闘を続けてきた。2014年には「三岸家住宅アトリエ」として国指定の登録有形文化財にもなっているが、後世へ残していくのは簡単ではない。

住宅街に佇む三岸家住宅アトリエ。手前の部分には玄関が設けられていたが、現在は使われていない(写真:©三岸アトリエ 撮影/千葉正人)

「場所貸し」に見出した活路

「保存活動をしている人たちは『貴重なものだから残さないと。2000万円あったら改修できるんじゃないですか』とは言うものの、だからといってお金を出してくれるわけでも、お金の稼ぎ方を教えてくれるわけではありません。

八方ふさがりの状態にあった2012年にたまたまある勉強会で知り合った人を介して2013年に出会ったのが現在、空き家の掲示板『家いちば』を運営する藤木哲也さんです」(山本さん)

空き家問題に関心のある人ならご存じかもしれない。「家いちば」は2015年にサイトがオープン、空き家の所有者が良いも悪いも含めて家を紹介、直接欲しい人とやりとりすることで不動産の流通を促すというもので、初期にはゼロ円物件なども多く、話題になったものだ。

パティオに敷かれている黒い石は三岸節子が大磯の海岸から拾って運んできたものだという(写真:©三岸アトリエ 撮影/千葉正人)
【写真】アトリエと裏手のマンション「カーサ・ビアンカ」の様子など(22枚)

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