日本はすでに「外国人が働きたい国」ではない…。外国人問題を語る人が知らない残酷な現実
そもそも、日本が移民政策をとって積極的に海外から労働者を招こうとしても、いまや遅いのかもしれない。たとえば、「外国人が働きたいと思う国」のランキングでは、ここ数年、日本は常時最下位に近いランキングを付けている。例えば香港を拠点とする銀行グループのHSBCホールディングスが毎年行っている「海外駐在員調査ランキング(2019年)」によれば、日本は「外国人の住みたい・働きたい国」ランキング33カ国中32位となっている。
さらに、外国人が住み、働きやすい国を順位付けたランキングでは、世界最大の海外駐在員向け交流サイト「InterNations(インターネーションズ)」によると、「外国人女性の住み働きやすい国」ランキングでも日本は最下位となっている。社会への溶け込みにくさ、言葉の壁、キャリアの選択肢の少なさ、ワークライフのバランスの悪さなどがその理由となっている。
働きに来てくれる外国人は少ない
世界を見渡した場合、外国人労働者の受入れで成功した国と失敗した国があると言われている。例えば、自国民と移民の大卒比率を見た場合、スペインやイタリア、アメリカは、移民の大卒比率が自国の大卒比率よりも低いものの、英国やオーストラリア、カナダなどは移民のほうが自国民より大卒比率が高い(OECD、2023年、25~64歳人口)。
英国は高技能労働者が少ない傾向があるため、単純には比較できないのだが、カナダやオーストラリアは、賢く移民を受け入れているように見える。日本でも、単なる労働力を受け入れる方針から方向転換したばかりだが、今後はこうした移民政策が重視されるはずだ。
いずれにしても、今の段階で外国人が受け入れを表明したとしても、観光には来ても、働きに来てくれる外国人は少ないことを意味している。日本の経済成長が止まってしまうのか、あるいは再度成長できるのか。結局のところ、外国人労働者に対する意思統一を、何かの機会に決断するしかないと言っていいだろう。
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