『謎解きはディナーのあとで』の舞台地は、なぜ国立だったのか? 「ミステリーが起こる街」に“必要な条件”

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さらに、阿部寛さん主演の映画『疾風ロンド』(2016年)では、東野さんが愛するウィンタースポーツが盛んな長野県野沢温泉村がメインの舞台地として登場します。

野沢温泉の広大なゲレンデをフルに使い、疾走するスキーヤーの目線でとらえた映像には圧倒されます。

東野作品では、「雪山シリーズ」というスノーリゾートを舞台とした作品群があり、2025年は、『雪煙チェイス』がNHKでドラマ化され、冬に放送が予定されていますが、作中には、野沢温泉ならぬ「里沢温泉」が登場します。

野沢温泉
『疾風ロンド』では「野沢温泉村」の広大なゲレンデが舞台となります(筆者撮影)
野沢温泉
美しい山々が望める「野沢温泉村」(筆者撮影)

進化する「ミステリーの世界」

人々を魅了し、思わず引き込まれるミステリーの世界は、日々進化してきています。小説単体の市場規模は、出版市場全体の縮小とともに下がってきているものの、最近では、「謎解き」コンテンツを含む「体験型ミステリーゲーム」が世界的に市場規模を拡大しています。

特に、自身が登場人物になりきって事件を解決する「マーダーミステリーゲーム」市場が、中国では3500億円の規模に達しており、これからのミステリー市場を牽引し、拡大するものと見込まれています。

バラエティー番組『水曜日のダウンタウン』で話題となり、人気コンテンツとなった『名探偵津田』も、ミステリーの一つの進化形であるといえるでしょう。このときは、実在する長野県の戸隠地域などが舞台地として登場しました。

戸隠
「水曜日のダウンタウン」の舞台地になったといわれている、長野県長野市の戸隠祖山地域(写真:いつか/PIXTA)

そんなミステリーの舞台地は、観光地でなくとも、どこか懐かしく雰囲気のある場所が選ばれることが多い印象です。風情のある景色が、多くのファンを惹きつけるのでしょう。9月には、東野さん原作の『ブラック・ショーマン』が実写映画化されますので、そのロケ地にも注目です。

古関 和典 ロケ地研究家、コンテンツツーリズム研究家

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こせき かずのり / Kazunori Koseki

1973年神戸市生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業後、旅行会社に入社。映画『のだめカンタービレ』のヨーロッパロケを担当して以降、社内でチームを立ち上げ、数多くの映画、テレビドラマ、アニメ等のコンテンツ制作の業務に携わる。2016年、TIFFCOMにおいて、『日経エンタテインメント!』と共催で「全国ロケ地セミナー」を開催し、その活動が同誌でも紹介される。2023年、法政大学大学院政策創造研究科修士課程修了。

現在は業務の傍らでロケ地研究家として「ロケ地ラボ」を主宰し、各大学や地域での講演も行っている(2015年以降、内閣官房より「地域活性化伝道師」の委嘱を受け活動)。2021年、フジテレビ『超逆境クイズ!!99人の壁』に「ジャンル=ロケ地」でチャレンジャー出場、グランドスラム達成。コンテンツツーリズム学会理事。

ブログ:https://ameblo.jp/chiiki-media/

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