中でも『天河伝説殺人事件』は、1991年に映画化もされました。
同作は奈良県の天川村が舞台地となっています。ロケは別の場所でも行われたようですが、当時から現在まで、この作品の舞台地を訪ねようと天川村を訪れるファンが多く集いました。
現在も、美しい自然と修験道文化の残る里として、洞川温泉街を中心に、主として関西圏からの行楽地となっています。


湯川が降り立つ「玻璃ヶ浦駅」、実は…
そして、現代の人気ミステリー作家である東野圭吾さんの作品の舞台地も、緻密に計算しつくされています。
福山雅治さん主演の映画『容疑者Xの献身』(2008年)では、都営地下鉄新宿線の浜町駅近くにある「浜町公園」、近隣の「清洲橋」などが、事件のカギを握る堤真一さん演じる「石神」の通勤ルートとして登場します。
また、途中に立ち寄る、松雪泰子さん演じる「靖子」の勤めるお弁当屋さん「みさと」は、当時実在していた店舗がロケ地として登場しました。


また、それに続く映画『真夏の方程式』(2013年)では、印象的な海岸沿いの旅館が登場します。ここは現在も静岡県・西伊豆の堂ヶ島崎温泉で営業している「五輪館」という旅館です。
宿の外観はもちろん、宴会場や室内でもロケが実施されており、原作に忠実な「玻璃ヶ浦」の世界観を味わえます。
また、近隣の松崎町や南伊豆町一帯でもロケが行われました。ただし、ここ西伊豆には鉄道が通っておらず、福山さん演じる「湯川」が降り立つ「玻璃ヶ浦駅」が撮影されたのは、遠く離れた愛媛県松山市の伊予鉄道の終着駅「高浜駅」でした。

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