部下が自発的に成長する秘訣は「徹底的な言語化」にあり 自走可能なチームを作る「3つの方法」とは?

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リーダーの「背中」から、その根底にある思考プロセスや勘所を部下が効率よく吸収するためには、明文化された仕組みとの合わせ技が非常に有効だからである。

「なぜ、あのタイミングで、あの質問をしたのか?」

「この場面で、どうして値引きを持ち出さなかったのか?」

「なぜ、すぐに商品を提案しなかったのか?」

こうしたポイントが説明されないままでは、学ぶべき視点が定まらず、部下は「なんとなく」真似するしかない。

一方で、「値引きを持ち出すかどうかの判断基準」や「商品提案にいくまでに必ず聞き出すべき情報」などの視点が事前にわかっていれば、同じ「背中」から学べる情報の量と質は格段に上がる。

「無言のリーダーシップ」は、徹底的な言語化と、そのうえに構築される仕組みがあってはじめて成立するものであることを心に留めておいてほしい。

仕事の構造を言語化し、自発的に学ぶチームをつくる

リーダーが徹底的に仕事の構造を言語化し、部下に学ぶべき視点や勘所を伝えたら、部下自身にも言語化させる機会を与えることで成長が加速する。たとえば、次のような流れを仕組み化するといいだろう。

無言のリーダーシップ 付加価値を生む仕組みのつくりかた
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① 営業のマニュアルをつくる

テレアポ、商品提案、価格交渉などの場面ごとに、成功の構造を言語化し、標準プロセスやマニュアルとして整備する。メンバーがいつでも誰でもアクセスできる状態にすることがポイント。

ここで、マニュアルをつくるときに言語化する意味合いを“臨機応変”という言葉で、“意味のないこと”として逃げてしまうリーダーが多くいる。

しかし、言語化すると自分自身の考えが整理できるだけでなく、自分とメンバーのずれが“見える化”するというメリットから目を逸らさないでほしい。

例:顧客の課題を把握するための質問の順番
 → 「まず顧客が抱えている問題を5W1Hで整理し、最初に解決したいことを聞く」

例:提案の組み立て方
 → 「顧客の言葉をそのままくり返し、共感を示したうえで、自社サービスの強みを伝える」

こういったひとつひとつが難しい。しかし、そこで躓くメンバーが多くいる。

例:交渉の切り札として使う情報
 → 「競合との差別化ポイントは3つにまとめ、相手のニーズに応じて一つずつ提示する」

顧客が買うポイント(パーチェスポイント)は実はこれくらいに絞ることが可能。フォーカスを創ることもリーダーの仕事になる。

② ロールプレイング後に「なぜそう行動したのか?」を部下に言語化させる

自分の行動の意図を部下自身に説明させることで、仕事の構造を内面化させる。

③ 実践後にナレッジ共有の場を設ける

全体の定例ミーティングで、「この交渉がうまくいったのは、どんな判断基準があったからなのか」を共有する。全体に共有された「営業のマニュアル」に基づいた実践的なナレッジなので、納得感や自己効力感が高い。

こうした仕組みを整えておけば、部下は「教えられる」だけでなく、「自発的に学ぶ」ことができるようになる。その結果、リーダーが個別に指導しなくても、部下同士が学び合い、「無言」でも成果を上げられるチームの基盤ができる。

田尻 望 株式会社カクシン 代表取締役 CEO

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たじり のぞむ / Nozomu Tajiri

京都市出身。大阪大学基礎工学部情報科学科卒業後、キーエンスでコンサルティングエンジニアとして重要顧客を担当。また販売促進技術、海外販売促進技術に従事。その後、研修会社の立ち上げに参画し、独立。社会変化に適応した企業の長期的発展を目指す。著書に『構造が成果を創る~価値を構築するストラクチャリング思考と手法』(中央経済社)、『付加価値のつくりかた 一番大切なのに誰も教えてくれなかった仕事の本質』(かんき出版)

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