ただし、営業を開始してからバターサンドには課題も発覚した。一番人気の商品なのだが、バタークリームを冷やさなければならないチルドデザートのため、「購入から2時間以内に持ち帰る」ことが必須であることだ。2時間は、東京駅から新幹線で地方へ帰宅する人にはハードルが高い。かくいう、大阪在住の筆者ものぞみで2時間半かかるため、購入を断念した。
しかし取材後、包装形態を変えることで課題を解決し、持ち帰りが3時間まで可能になったと連絡があった。筆者も次の出張では購入できそうだ。
成功の裏にある「ゴディバ流サービス哲学」
ところで、ゴディバというブランドがこんなにも日本に浸透した理由はなんだったのだろうか。
1926年にベルギー・ブリュッセルで誕生し、1972年に日本に上陸を果たしてから、2025年の今年で53年。「チョコレートがおいしかった」だけでは半世紀も続かないのではないか。そこには、アパレル高級ブランドにひけをとらない、上質なサービスが大きな役割を果たしていたようだ。
日本で「ギフト用チョコレート」として愛されてきたゴディバのサービス理念は「お客様の心をほどいて差し上げる。リボンを結んで差し上げる前に」だ。スタッフは、この理念に沿ったホスピタリティを持って接客をすることが義務付けられている。
マニュアルはあるが、それ一辺倒だと「心が通じない」ため、「いかに自分の言葉で」理念に基づいた接客ができるかが重視されている。

社員は入社すぐに、サービス、トーク、接客、陳列、そして、「華美でなく不快感を与えない」メイクや身だしなみについての研修も受ける。そして、チョコレートの特性、種類、製造工程も。これらの教育内容は、店長からアルバイトスタッフにも伝えられている。
だから店舗にいる全員が、ブランドやチョコレートについての知識を持っているそうだ。
また、定期的な店長ミーティングでの接客トレーニングも常に行われている。「良い接客」「悪い接客」の動画を見ながら、みんなで「どうしたらもっと良くなるか」をテーマにワークショップも開催している。
さらに、ゴディバターズ、ゴディパンなど、近年生まれた新業態については、新たな接客プログラムが開発されたという。「日常使い」のブランドのため、高級店とは異なる、親しみやすい接客が求められるからだ。
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