飼い主の死後に起こる残酷で悲しい現実。遠野なぎこさん愛猫「愁くん」無事保護も…突きつけられた一人暮らしとペットの「もしも」の問題とは
まず、飼い主の死後、ペットはどれくらい生きられるか見ていきます。
飼い主が突然亡くなり、ペットが室内に取り残された場合、その生存は水と食料の有無に直結します。特に、水分摂取は生命維持に不可欠で、犬や猫の生理機能から見ても、絶水状態は絶食状態よりもはるかに早く深刻な健康被害をもたらし、命の危険を高めることを示しています。
犬や猫などのペットが水なしでどれくらいの時間を過ごせるか。そこに影響を与える要因としては、年齢、体格、食事、活動レベルなどがあります。さまざまな見解がありますが、一般的に犬や猫が飲まず食わずで生きられる日数は、水なしでは数日、食べ物なしでは1~2週間程度といわれています。
とはいえ、実際の孤独死現場では、10日以上も水も餌もなく放置されたにもかかわらず、奇跡的に生きて発見された犬のケースも耳にします。
このような生存は、動物が極度の飢餓、脱水、そして計り知れない精神的ストレスに耐え抜いた結果であり、その間の苦痛は想像を絶するものです。単に「生きている」という事実だけでなく、その生存がどれほどの苦難を伴うかという視点を持つことが重要です。
ペットが亡くなった飼い主を…
では、ペットが亡くなった飼い主を食べてしまうことはあるのでしょうか。
1997年、科学捜査の学術誌『Forensic Science International』に、ドイツのベルリンで自殺をした男性(30代)の顔を、飼い犬のジャーマン・シェパードが食べたという記事が載っています。この犬には凶暴性は一切なく、発見当時に犬のフードも置かれたままだったことから、空腹だったわけではないとされています。
また、2015年11月、東京都のマンションで自殺をした住人(30代)の顔の皮膚が、剥がされた状態で見つかりました。住人が飼っていたチワワと雑種犬の2匹の鼻には住人の血液が付着。DNA型も一致したといいます。
ペットが飼い主を食べるという事実は、多くの人にとって衝撃的であり、感情的な抵抗を伴うかもしれません。しかし、これは極限状態における動物の行動として科学的に報告されている現象だと、以前、取材した獣医師から聞きました。
海外の研究では、飼い主が亡くなってからわずか1日以内に犬が遺体の一部を食したケースが24%にものぼるそうです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら