「僕は物事を覚えるのが得意だったんです。自分で考えたり調べたりして、教えてもらった以上のことを吸収するタイプでした。元上司は、極端な話ですけど、『グローブとバットを渡しておけば勝手にプロ野球選手になるだろう』というくらい見込んでくれていたみたいです」
とはいえ、YouTube活動が軌道に乗らない以上、収益は上がらない。たっくーさんにすべてを託すのは、博打のような賭けにも思える。資金はどうしていたのか。
実はその元上司はパチプロをしていたことがあり、ギャンブルが得意。なんとギャンブルでお金を稼ぎ、赤字に充当することで会社を存続させていたのだった(断っておくと、もちろん合法の公営ギャンブルである)。
風向きが変わったのは、YouTuberになって1年が経った頃。どうすればチャンネルが伸びるか、正解はわからなかったが、「伸びない理由」は明確に見えてきた。
それは、ほかのYouTuberの動画を真似していたために、自分のよさが発揮できていなかったから。具体的には、たっくーさんの持ち味である「トーク力」がまったく生かされていなかったのだ。
「僕は喋ることがすごく好きだったのに、トークにフォーカスした動画は1本も上げていなかったんです。自分が得意な分野で闘っていないなと。それに、トークで勝負するのであれば、顔を出す必要もないなと気づいたんです」
そしてトークが中心の、ラジオのようなスタイルのチャンネルを立ち上げた。なんと開設3日で、旧チャンネルの1年分を超える再生回数や登録者を獲得したという。たっくーさんの狙い通り、トークが視聴者を引き付けたことが大きいのは間違いない。

「怖い話」に目覚めたきっかけ
たっくーさんといえば、怪談やヒトコワ、都市伝説など、広い意味でのオカルト・ホラー動画が特徴だ。いまやYouTubeでの同ジャンルの第一人者的存在でもある。
この方向性でチャンネルを運営していくことを決めたのは、自身のほろ苦い経験が影響しているという。かつて思いを寄せていた人が、オカルト大好き少女だったのだ。
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