「フリック入力」を発明しMicrosoftに売却した彼の"逆転"人生。元・売れないミュージシャン兼フリーター、家賃3万のボロアパートでひらめく
令和の女子高生がすごい速さでフリック入力できるのも、僕のおかげです。このような深くて細かいところは、一見、発明の本質じゃないように思われますし、気づいていない人も多いのですが、じつはものすごく大切なんです。
前述のように、僕がブラインドリリースの考え方を特許出願に入れたのは、最初の出願から1年後、国内優先権出願のときでした。そして、ブラインドリリースのおかげで、フリック入力の特許が取れることになるのです。
フリック入力のアイデアで一発逆転した僕は、アイデアというものが、他の能力(コミュニケーション力、リーダーシップ、カリスマ性など)が一切なくても、世界を変えることのできる素晴らしい魔法の杖だと知りました。
「発明はアートだ」
ミュージシャンでもある僕は、「発明はアートだ」と考えています。発明も音楽(アート)も根っこが一緒で、
・世になかったものを作る
・人を感動させる
この2つが、「選ばれ、残る」ために、必須だと思います。
一連の発明、開発、特許化、商品化、権利売却という経験を経て、僕は、偶然のヒラメキを待つのではなく、連続的、計画的に発明し、商品化して販売するためのノウハウを蓄積することができました。
また、弁理士としての経験も経て、強い権利として特許化し、大企業とタイマンをはって、売却、ライセンスしていくための方法もわかってきました。

昔は発明をしてもそれを開発・商品化するためには大資本が必要でしたが、今はクラウドソーシングでプログラマーを探したり、3Dプリンターで試作して、製造を外国にアウトソーシングし、クラウドファンディングやECサイトを使ってD2C販売するなど、全てを手軽に一人で行うことができる時代です。
それに、日本が今後、マンパワーで劣っていく中で、世界で生き残っていくためには、日本人が得意とする「改善」を特許にして、外国からライセンス料を得る、「知的財産立国」になっていくしかない、と思っています。
アメリカでは子どもの憧れの職業にスポーツ選手と並んでノミネートされる発明家ですが、日本では、デザイナー、作曲家、起業家といった職業に比べるとまだまだ市民権を得ていないように思います。日本ではあまりイメージの湧かない発明家という素晴らしい職業を志す人が増えたらいいな!と願っています。
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