トヨタ設計大革命で迫る“ケイレツ”解体
「日本のモノづくりを守るため、石にかじりついても国内生産300万台は維持する」。豊田章男・トヨタ自動車社長は事あるごとにそう繰り返してきた。5月から日本自動車工業会会長に就任する豊田社長にとって、超円高下での「300万台維持」は金看板だ。
もっとも、300万台維持は、車両組み立てに限った話だ。トヨタは大ざっぱにいってエンジンは450万台分、トランスミッションは650万台分を国内で造っている。その大半は海外生産用に輸出されている。
だが、トヨタの伊地知隆彦専務役員(経理本部長)は「基本的に海外生産する車のユニットは現地調達化させる」と言い切る。実現すれば、国内でのエンジン、トランスミッションの生産は激減する。
部品の世界共通化でコストを大幅に削減
トヨタは2012年(暦年)に世界で858万台、13年には895万台と、連続で過去最高の販売を計画している。基本的に伸びしろは新興国であり、そこで戦えるコスト構造を築くには現地生産と現地調達の拡大が欠かせない。
そのための組織が、今年1月に新設された。小澤哲副社長を統括者とする「現地生産・現地調達推進室」がそれだ。管理部門担当の小澤副社長をトップに据えたのには、調達部門に限らず、全社横断で取り組む姿勢を内外に示す狙いがある。
その使命は、部品の現地調達化、あるいは国内への部品輸入がどこまでできるかの見定めだ。調達部門を統括する佐々木眞一副社長は「2~3割ぐらいは、為替水準にかかわらず日本で造ったほうがよい部品がある」と話す。裏を返せば、7~8割は現地調達化や海外からの輸入に切り替える可能性があるということだ。
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