【独自アンケート】選択的夫婦別姓“賛成過半”でも実現しないのはなぜ?改姓めぐる「暗黙の了解」「家族の猛反対」で生じた男女の分断
賛成理由で最も多かったのは「別姓の強制ではなく、同姓を名乗りたい人に不利益がない」というものだ。賛成と答えた人のうち78%が選択した。
選択的夫婦別姓が導入されても、同姓を選ぶことはできる。この点について昨年に東京地方裁判所と札幌地方裁判所で提訴された、第3次夫婦別姓訴訟で弁護団長を務める寺原真希子弁護士は「夫婦同姓が家族の一体感に資するとする国や最高裁判所は、別姓という例外を認めない理由を明らかにしていない」と指摘する。

一方、反対の理由で多かったのは「通称使用や旧姓併記を拡大すれば十分」というものだった。
日本弁護士連合会の渕上玲子会長は「選択的夫婦別姓制度ができても、戸籍制度は問題なく維持される」と指摘する。そのうえで「通称使用を法制化しても、根本的な解決にならないどころか、旧姓と新姓という2つの公称が存在することによる社会的混乱が危惧される」(渕上会長)と問題視する。
妻に改姓を強いて後悔
家族が同じ姓を名乗ることで、家族の一体感が生まれる――。国や保守派が理想とする家族観。しかしその陰では、夫婦同姓を強制されるがゆえに翻弄され、苦悩に直面する夫婦が存在する。
「配偶者に改姓を強いたことは今でも申し訳なく感じます」。首都圏の会社で働くサイトウケンイチさん(40代男性、仮名)は、結婚した15年前を振り返り、そう漏らす。
どちらが改姓するか、プロポーズをするまで妻と話したことはなかった。「改姓について深く考えず、妻は姓にこだわらないと勝手に思い込んでいました」。
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