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「自ら動かないといけない」という危機感、台湾でますます顕著となる女性の政治参加から見る台湾政治の切実な状況

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実際、社会運動を主導する市民団体の組織内の信頼と柔軟性は女性たちの動きを受けて高まっている。琪琪さんが参加する罷免を求める団体では、メンバーの大半が互いに面識がないにもかかわらず、互助的な協力関係が自然に生まれているという。

また、社会に対する女性の視点やそれに対する共感も重要な要素となっている。黄欣儀さんは、生活に密着した視点を持つ女性が、文化保存や地域教育において大きな力を発揮していると指摘。その視点を生かして、多くの女性メンバーが無償で地域に関する活動に参加している。

制度でなく市民の実践が支える民主主義

過去に独裁体制のもと反体制者とみなされた人を密告する文化があったため、台湾では「政治を話題にしない文化」が少なからず残ってきた。今回、罷免運動に参加した人たちからは「政治を語る文化」への転換がさらに進むことも目指している。

さらに、若者世代の政治参加も進んでいる。K-POPアイドルの政治的発言をきっかけに行動を起こす人もいれば、「自由がなければBLもない」といったスローガンを掲げ、表現の自由と政治的自由のつながりを重視する人たちも登場している。

罷免運動では、街頭での署名活動が妨害されるなど多くの困難もあった。時には暴力的な行為もあったというが、それでも活動が続けられ、リコール投票の実施に持ち込んだ。「罷免は民主主義の練習」であり、社会的価値観を形成するプロセスだと彼女たちは強調する。罷免活動に参加するのが怖いという人たちもいたが、恐怖は自信へと変わり、今や罷免を求める活動も日常的な政治参加の一環として認識されている。

これらの女性たちの姿勢と行動は、台湾の民主主義が選挙があるなどという単なる制度ではなく、日々の市民の実践によって支えられていることを示している。政治的な立場によって対立が先鋭化しがちな台湾社会で、市民間で政治を実践し協力する動きが広がるのか。市民が対立ではなく協力と包摂を基本とする新たな民主主義の価値観が台湾社会に根付くかは今後の焦点のひとつだ。

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