それよりも今、職場に残っている他の社員に目を向けましょう。まだ見えない、彼ら彼女らの輝くところを伸ばしていくことも、上司の大切な仕事です。
上司自身へのケア、総まとめ
最後に今、頑張っている管理職のみなさん、経営者のみなさんにエールを送りたいと思います。
自分たちが受けてきた教育は役に立たず、かと言って指導法も教えてもらえないなかで人を指導する立場になったあなた! ハラスメントにならないかとおびえ、上から下からのプレッシャーに耐え、よく頑張っていらっしゃいますね。本当にお疲れさまです!
くり返しになりますが、自分自身のケアはどうか積極的になさってください。自分にゆとりがなければ何もできなくなってしまいますし、部下の対応も不可能になってしまいます。
物理的な忙しさはある程度仕方がないこと。だからこそ、意識して心のゆとりを持つことは、とても大切です。本書の最後に、私自身も行っている、セルフケアの方法を2つお伝えします。
強制的にリセットする時間を作ることをおすすめしています。
嫌なことがあったり、気になることがあったりすると、ずっとそのことばかり考えて、帰宅しても頭の中がグルグルしている人は多いものです。いくら気を紛らわせようとしても、何かの瞬間に思い浮かんでしまい、記憶喪失にならない限り、なかなか忘れることができないのです。
でも、ずっと考えていても何も解決しません。
そんなことに振り回されないためには、短時間でいいから問題となっていることと完全に切り離す時間を強制的につくること。
私のリセットタイムは、スマホアプリでマンガを読むこと。読んでいるときは無心になれる、幸せな時間です。
ポイントは、「すぐできる」「いつでもできる」ものを選ぶこと。旅行に行く、温泉に入るなどでもリセットすることはできますが、すぐにできることではありません。
たとえば、ドラマや音楽などの動画を見る、刺繍をする、パズルをする、ゲームをする(ゲームはやりすぎに注意)などなんでもOKです。
私たち人間が持つ顔は1つではありません。人間はいろいろな要素があり、多面性があるのが普通です。これを心理学用語でペルソナと言います。
たとえば学生時代の友だちには妹キャラ、職場ではしっかり者の姉御キャラ、趣味の仲間うちではおもしろキャラなど、人や場所、あるいはコミュニティによって見せる顔は違うはずです。明るく饒舌(じょうぜつ)なときもあれば、寡黙(かもく)なときもある。やさしいときもあれば、ちょっと冷たい面もある。いつも同じである必要はないですし、それでいいのです。
違う顔を見せられる場所をたくさん持っていると、心の安定につながります。
いつでもどこでも同じ顔をして、同じ面しか見せていないと、それを否定されたとき、自分が全否定されたように感じてしまいます。それが職場だったりすると、自分は何をやってもダメ、人間としてダメ、となってしまいかねません。
一方、“いろいろな自分”を見せている人は、職場で否定されたとしても、自分の中の一部が否定されただけととらえ、「そういう部分が受け入れられなかったのだな」と思えます。もちろん一部でも否定されれば落ち込むかもしれませんが、心が安定しているので、必ず立ち直ることができます。いろいろなキャラを楽しむことがあなたを守ってくれるでしょう。

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