手をかけすぎる子育てが逆効果に? “頑張る親”にこそ知ってほしい「戦略的ほったらかし教育」のススメ《戦略的の意味とは?》

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そこで、これまでの仕事を辞めて、近隣の幼児教室で講師として勤めることにしました。しかし、私はその場所で衝撃を受けます。それは、子どもが「やりたい」と言い出す前から、どんどん教え込んでいたからです。

小学校受験では、小さい頃から手先を使う体験をしているかを検査するために、蝶々結びができるかをチェックすることがあります。我が家では「蝶々結びの練習をしましょう」といったトレーニングの場は設けていませんでした。

その代わり、お風呂のバーにひもを付けて、湯船につかりながら、蝶々結びに夢中になっているふりをした私の姿を子どもたちに見せていました。

すると、子どもたちは興味を持って、「やらせて! やらせて!」と言い始めます。しかし、そう言われてもすぐには渡しません。「いや、私もまだ上手にできないからやらせてあげない」などと言って、さらに子どものやってみたい欲を倍増させます。

そうして、満を持してバトンタッチすると、子どもにとって「自分が真剣に取り組みたいこと」になっているので、集中してスッとできるようになります。我が家では一事が万事、こんな様子で子どもたちはどんどんできることを増やしていきました。

一方、幼児教室では、まったく異なる子どもたちの姿がありました。気乗りしない子どもたちの機嫌をとりながら「ウサギさんの耳、できたかな〜?」などと注意を引いて、必死になって教え込みます。遊んだりオヤツを食べたりしたい子どもたちは、泣いたり逃走したり……。

それはそうです。今、蝶々結びをすることは、子どもたちのやりたいことではないのですから。私は、子どもたちに不自然なことをさせているとひしひしと感じていました。

そしてこの状況は、日本の未来にどんな影響を与えているのだろう? そんなことを考え始めます。高い志があって飛び込んだわけではない教育業界で大きな違和感を覚え、「このままでいいのだろうか……」とぐるぐると悩み始めたのです。

子どもがやりたくなる仕掛けづくりが大切

幼児教室での講師としての経験から、子どもの能力が伸びるか伸びないかの鍵を握っているのは「親」であると気づきました。幼児の段階では、子どもの能力は大して変わりません。

念のためにお伝えしておきますが、親が鍵になるからといって、決してたくさんのお金や時間を使うことをすすめているわけではありません。むしろ、逆。親が手取り足取りサポートしていては、子どもは自分の力で育つことができません。

違和感を覚えていた幼児教室の仕事は早々に辞め、先ほどの蝶々結びの例のように「子どもがやりたくなる仕掛け」をメソッドとして独自で教えるようになりました。

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