手をかけすぎる子育てが逆効果に? “頑張る親”にこそ知ってほしい「戦略的ほったらかし教育」のススメ《戦略的の意味とは?》

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これまで私はお母さん向けの講座やカウンセリングで延べ7000人以上の人たちと出会ってきました。

保護者の皆さんと向き合って話を聞く中で、「ちゃんと子育てができていない気がして不安です」「社会で生き抜ける子に育てるには、どうすればいいでしょうか」「やっぱり学力は必要だと思うのに、子どもが勉強をしません」などなど、さまざまな悩みを受け止めてきました。

私が保護者の方たちと接して感じること。それは、賢い子に育てるための方法がわからない人よりも、「育て方を頭では理解していても真逆のことをしてしまう」人が圧倒的に多いことです。

たとえば、「自分で考えて行動できる力を育みたい」と思っているのに、親が先回りしてコントロールしてしまい子どもの考える場面がない――、そんなことはないでしょうか? こういった家庭教育の問題を解決するアプローチが、「戦略的ほったらかし教育」です。

「自分でなんとかする力」を育てるために

ここで突然問題ですが、お子さんに次の質問をされたら、どう答えるといいでしょうか?次の3つの選択肢から選んでください。

「ねえ、夏休みの宿題、どれからやればいい?」
答え① 一番時間のかかりそうな宿題からやるといいんじゃない?
答え② 自分の勉強だから、自分で考えてみたら?
答え③ トマトを口にいっぱい入れることじゃん?

正解は③です。合っていましたか? それとも、意外な解答でしたか?

もちろん、トマトを口にたくさん入れても何も解決しませんよね。他にも「とにかく家の周りを10周走ることじゃない?」などとワケのわからない答えを私は言っていました(笑)。

これは、「この人に相談しても解決しない」と子どもに思わせることを狙っていたのです。そうすれば、子どもは否応なしに自分で考え、行動するようになります。

もし、「そんなこと自分で考えなさい」と返事をすれば、子どもによっては「親に突き放された……」と感じることがあります。だから、「この人はダメだ!」と思わせて、自分で解決する力を鍛えることを大事にしていました。

大人は子どもに相談されると、「なんとか解決してあげなければ」と思ってしまいます。しかし、その優しさによって、子どもたちが自己決定することや失敗することを阻んでしまうのだとしたら……?

長い目でみると、私たち親に求められることは、子どもの目の前の悩みを解決することではなく、人生においてさまざまな苦難や課題に遭遇したときに「自分でなんとかする力」を育てることのはずです。

「戦略的ほったらかし教育」は、単なる「ほったらかし」ではなく、その前に「戦略的」がつくことがポイントになります。

「すべてを子どもに任せてしまえばいい」「放任でOK」というわけではありません。子どもは人生経験が少ないので、判断を間違うこともありますし、「今」しか見えていないがゆえに、大人からみると危うさを感じることもあります。

つまり、戦略的ほったらかし教育とは、子どもが自然に学びたくなる家庭環境を親がつくったうえで、子どもを放任することです。選択肢を持たせて、意思決定を子どもに任せていきます。

戦略的ほったらかし教育では、子どもに「自由だ」と感じさせることがとても大切になります。

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