英語が苦手な日本企業の救世主なるか。独DeepLが本格参戦、東証プライム上場企業の半数が採用する「翻訳AI」の実力に迫る
高山氏はさらに踏み込んで「日本人は言語に対して特にセンシティブだ」と指摘した。「外国人の中途半端な日本語に違和感を覚えるように、翻訳では少しのズレも許されない。汎用AIが多機能化する中でも、言語に特化したDeepLには明確な優位性がある」と、7年以上のデータ蓄積による専門特化の重要性を強調した。
価格面では汎用生成AIサービスが月額20〜30ドル程度で多機能を提供するのに対し、DeepLの企業向けプランは翻訳・文章作成に特化している。導入を検討する企業は、翻訳業務の頻度や精度要求に応じて選択することになるだろう。
高山氏は「翻訳だけでなく、異文化コミュニケーションの支援も重要」と話す。日本のようなハイコンテクスト文化とドイツのローコンテクスト文化では、同じ内容でも伝え方を変える必要がある。今後は翻訳機能に加え、コミュニケーショントレーニングも提供していく計画だ。
今後の展開とパートナー戦略
これまで直販中心だった同社だが、今後はパートナー企業との連携を強化する。約10社と協議を進めており、API連携による新サービス開発も支援していく。観光・インバウンド分野への展開も視野に入れる。質疑応答では、自治体や観光地でDeepLアプリやAIイヤホンを配布してサブスクリプション展開する可能性を問われた高山氏は、「いい意見をいただいた。パートナーシップが非常に大事になる」と意欲を示した。

日本企業の海外展開において、言語の壁は依然として大きな課題だ。DeepLの本格参入により、日本企業の言語コミュニケーションがどこまで改善されるか。その成否は、日本の国際競争力にも影響を与えそうだ。
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