英語が苦手な日本企業の救世主なるか。独DeepLが本格参戦、東証プライム上場企業の半数が採用する「翻訳AI」の実力に迫る

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2017年にドイツ・ケルンで創業したDeepLは、営業活動をほとんど行わずに成長してきた。「プロダクト・レッド」と呼ばれる製品主導型の成長戦略で、口コミによって利用者を増やした。現在は世界12の国と地域に展開し、20万社以上の企業・政府機関が利用している。日本での売上高や契約数など具体的な経営指標は公表していない。

DeeoL翻訳のサービス
DeeoL翻訳のサービス画面(筆者によるスクリーンショット)

同社の強みは、翻訳に特化した独自の大規模言語モデル(LLM)にある。7年分以上の学習データを保有し、世界最速級のスーパーコンピューターを活用。説明会で公表された資料によると、同社の最新言語モデルは他社比で1.3~2.3倍の精度を実現しているという。

すでにNEC、富士通、パナソニック コネクト、大和証券グループなど、日本を代表する企業が導入を進めている。

NECは昨年11月、世界で初めて音声翻訳機能「DeepL Voice」を導入。Microsoft Teamsと連携し、日本語・英語・韓国語・ドイツ語での国際会議で、参加者がそれぞれ母語で話しながらリアルタイムで翻訳される仕組みを実現した。

DeepL Voice
多言語のTeams会議を翻訳する「DeepL Voice」(筆者撮影)

大和証券グループでは、決算発表時のIR資料を日英同時に公開する業務で活用している。従来は英語版の作成に多大な労力がかかっていたが、DeepL導入後は作業負担が大幅に軽減。IR発信後のQ&Aへの英語での返答も、業務時間内に完了できるようになったという。

セキュリティと専門用語への対応

企業向けサービスの柱は、高度なセキュリティと専門用語への対応だ。欧州の厳格なデータ保護規則(GDPR)に準拠し、ISO27001やSOC2 Type2などの認証も取得している。企業向けプランでは、入力されたデータはAI学習に使用されない。

セキュリティや専門用語への対応を強みとする(筆者撮影)
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