【春ドラマ視聴率TOP10】盛り上がりに欠けた4月期だが健闘作も 酷評だった『キャスター』は何位?『なんで私が神説教』『べらぼう』は?
そして、ここ2週間は、戦争の現実を当事者の視線から踏み込んで映し出した。徴兵された嵩が直面する、理不尽な暴力が当たり前の軍隊生活。出征後の戦地における、死を隣り合わせにした想像を絶する苦しみ。当時を生きた市井の人々の魂の叫びには、反戦への願いと誓いが込められていた。
戦地の兵隊や、家族の帰りを待つ人々、愛する人を失った人々などの思いを通して、まっすぐに戦争に向き合い、そこで起きていた事実に深く切り込んだ本作が伝えるメッセージに、視聴者も反応している。終戦80周年を迎える今年にふさわしい反戦ドラマだ。
4月期ドラマのなかでも、本作の戦争へ向き合う真摯な姿勢とメッセージ性の高さは際立っていた。
2桁ドラマ『キャスター』と『べらぼう』は苦戦
ここで、15分枠である朝ドラを除外した、春ドラマの平均世帯視聴率トップ10を見てみよう。

『あんぱん』とは対照的に、名作枠である日曜劇場の『キャスター』は、放送前の高い期待に応えられなかった。
“視聴率低迷にあえぐ報道番組のメインキャスターの奮闘”をテーマにした本作には、ありきたりなサクセスストーリーに落ち着かず、昨今のテレビ局の不祥事をめぐるマスコミへの世の中の不信感や、従来スタイルの報道姿勢に対する自省や批判も含めて切り込むことが期待されていたが、結果はドラマそのものの視聴率も話題も伸び悩んだ。
その要因はストーリーに尽きるだろう。SNSやネットニュースでも総ツッコミだったが、リアリティそっちのけで、あらゆる面で都合よくストーリーが進んでいく。
生放送のニュース番組で、責任者が内容を知らない暴露映像が何度も差し込まれ、その信憑性には触れない。時には番組が警察の取調室や法廷になったりして、細かな部分を含めて恐ろしいほど現実とかけ離れている。毎話の落としどころに向けて、都合よく作り込まれたドラマだった。
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