SF好き集まれ!【シュレーディンガーの猫】【多世界解釈】量子力学の有名理論を徹底解説

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95%の宇宙
人間が実験をすることは観測ですが、人間が見ただけならどうでしょうか?(写真:HoodyHoony/PIXTA)
「95%わからない」ままといわれる宇宙ですが、世界の宇宙物理学者たちは「見えない・わからない」宇宙と向き合って、まだ解き明かされていない謎を明らかにしようと日々研究を重ねています。では、これまでにどういった謎があり、どのような仮説が立てられ、反証され、謎が謎を呼んできたのか――宇宙を語るに欠かせない、量子力学における「観測」の謎について、野村泰紀氏の新著『95%の宇宙』より紹介します。

量子力学における観測の謎

量子力学では、電子など物質の場所は「存在する確率」でしか表現できません。確率というのは、複数の可能性が重なり合った状態と言ってもいいでしょう。

例えば、原子核の周りにある電子の状態は、原子核を取り囲む雲のように描かれることがよくあります。しかし、電子が実際に雲のようになって原子核の周りを取り囲んでいるわけではありません。電子が存在する確率の高い場所を濃く、低い場所を薄く表すと、雲のようになるだけです。

実際、電子を観測すると、量子力学で計算された波動関数の示す確率分布に従って、どこか一点で見つかります(図)。では、その直後に同じ原子内の電子を観測したら、電子はどこで見つかるでしょうか。

(画像:『95%の宇宙』より)

元々の波動関数に従って、確率的にいろいろな場所に見つかるのでしょうか。そうはなりません。最初の観測に続けてすぐに行った観測では、電子は必ず最初の観測で見つかった場所のすぐそばで見つかるのです。

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