「愛の不時着」「シュリ」にも登場!謎多き“韓国のCIA”『国家情報院』の実態とは?工作員は“ホテルで体液を採取”することも

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その扱われ方は、コメディタッチで描いたり、ハードボイルドな内容で展開したりするものもあるが、むき出しの暴力で民主化運動を弾圧した史実をテーマにした社会派のものも少なくない。

映画に社会派の作品が目立つのは、韓国の映画界に革新系の監督や俳優が多いことにも関係している。

このように、韓国では情報機関の存在が一般の人に広く知られ、時に娯楽作品のテーマにもなっている。

一方で、KCIAの時代から情報機関は政治と深く関わり、保守と革新で揺れる韓国政治とともに、その性格を大きく変化させてきた。民主化によって国情院に名前を変えた後も、政治との距離は常に社会問題となっている。

ホテルで体液を採取する工作員の任務

KCIAや安企部は、民主化運動の参加者や北朝鮮との関連が疑われる団体のメンバーなどを拘束し、情報を得るために激しい拷問を加え、徹底的に弾圧した。

拷問などの直接的な暴力だけではない。野党政治家などターゲットを定め、尾行や盗聴で行動をマークし、弱みを見つけて脅すという手法もとられた。

男性のターゲットに協力者の女性を接近させ、ホテルから出てきたところを撮影するだけではなく、言い逃れできないようにするためホテルの部屋で体毛や体液を採取することもあったという。

こうした活動の担い手が、工作員だ。工作員とは、隠密裏に諜報活動を行う人のことを意味する。情報の収集や他国への働きかけ、あるいは他国や敵対勢力からのスパイ活動を防ぐことが主な任務となる。

情報機関の職員が自ら工作員となることもあるが、実際には組織外の協力者を工作員として養成することが多い。その場合は情報機関の職員が工作員への指示や管理を担う。

国情院は、血なまぐさい暴力やむき出しの国家権力といったかつてのKCIAや安企部のイメージと一線を画す存在となっているが、情報機関としては同じであり、日々の活動にとって工作員の存在が不可欠なことに変わりはない。

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