「元気がないね」って言わないでほしい。Z世代に上の世代がやりがちな逆効果コミュニケーション

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人間はよく知らないものに警戒心を抱きます。興味がなかったり、特に好きではなかったりするものや人でも、頻繁に接しているうちに、それが「知らない」から「知っている」に変わり、警戒心が薄れてよい印象を持つようになるのです。人間関係においては「熟知性の法則」とも呼ばれており、相手とたくさん会い、相手のことを知るようになるほど、好意を抱きやすくなる傾向があることを指します。

何なら日々あいさつを交わすだけでも気持ちが違うといいます。会話するタイミングをたくさん持つことが重要なのです。

最低限クリアすべき目標を示してほしい

それでは、どんな風に声をかければよいのでしょうか。

「気持ちを切り替えてやる気出していこうよ」そんなふうに言われてしまうと、クリアすべき目標が何なのか、明確にされておらず、Z世代の皆さんは困惑してしまうといいます。Z世代は正解や目標に効率的にたどりつきたいという思いが強く、うまく目標設定できればもやもやした気持ちを達成へのエネルギーに換えられるという特長があります。しかし、目標が「頑張ろう」では、何をしてよいかわからず、その力も湧いてきません。

「まずは〇日納期の仕事のこのパートだけは、この日までに最優先で終わらせよう」のように、最低限クリアすべき目標を具体化することで、そこからさかのぼって必要なエネルギーを捻出することができます。目に見える目標があると安心する、クリアできそうな気がしてそこまでは頑張ろうと思える、という意見でした。

ということで、Z世代の皆さんに、どんな風に声をかけてほしいかを聞いて、ポイントをまとめてみました。明日からのコミュニケーションのヒントにしていただければ幸いです。

●お疲れさま。最近仕事の調子どう?実は、出勤時間が遅かったり、休憩が長かったりする記録が残っているんだけど何かあった?(ファクトからの指摘)
●そういうことだったんだね、気分が乗らないことあるよね、私もやる気がでなくてどうしようと思うときがある。(共感)
●まあ、やる気はさておいて、まずは木曜日までのこのタスクだけは片付けられるように、頑張ろう!(明確な目標設定)
松下 東子 株式会社野村総合研究所シニアプリンシパル

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まつした もとこ / Motoko Matsushita

1996年東京大学大学院修了後、野村総合研究所入社。以来、一貫して消費者の動向について研究し、企業のマーケティング戦略立案・策定支援、広告・プロモーション効果測定および広告戦略策定支援、ブランド戦略策定、需要予測、価値観・消費意識に関するコンサルテーションを行う。
また、日本人の意識と行動を実証的に分析・提示する「NRI生活者1万人アンケート調査」(1997年~)を担当。共著書に『日本の消費者はどう変わったか?』(東洋経済新報社、2022年)、『Z世代コミュニケーション大全』(東洋経済新報社、2025年)などがある。

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