不動産の相続で生じる「不公平」、子どもを困らせる親の「勝手な」思い込み。《兄弟姉妹は仲が良いから大丈夫》で共有名義→トラブルの温床に
特に、次のようなケースではトラブルが起こりやすくなります。
これらの状況でも、差額を現金で補填したり、不動産を売却して現金で分けたりすることで問題を回避できる場合があります。しかし、現実にはそう簡単に解決できないことが多いのです。
親の「思い込み」が引き起こす問題
そもそもなぜ、このような「争いの種」があるのに手を打っていなかったのか。それは、次のような親の「思い込み」も原因の一つだったりします。
①「兄弟姉妹の仲が良いから問題ない」
親が「兄弟姉妹の仲が良いからトラブルは起きないだろう」と考え、共有名義で相続させることがあります。しかし、共有名義はトラブルの温床になりやすいものです。
よくあるのが、「子どもが2人いるが、収益マンションは1棟しかない」といった場合に、共有名義で相続させるケースです。何が問題でしょうか。
順風満帆の間は、特にもめごとは起こらないものです。しかし、人が年齢を重ねるにつれて体に不具合が生じるように、建物も築年数を重ねるほど問題が発生しやすくなります。
仲の良い兄弟姉妹であっても、「収入が減る」「出費が増える」といったネガティブな場面では、どのように対処するかで意見が分かれやすくなるものです。たとえば、次のような場面で意見が対立することがあります。
さらに、それぞれの経済的な余裕度に差がある場合、意見の対立が深刻化しやすくなります。経済的に余裕があれば修繕費を負担できますが、余裕がなければ大きな負担となることがあるからです。
また、収入が減った場合も、余裕があればさほど大きな問題にはならないかもしれませんが、余裕がなければ生活に直結する深刻な問題となる可能性があります。
結果、修繕費や維持費の負担、賃料の減額をめぐって意見が対立することが増え、こうした対立が繰り返されるうちに、関係が悪化してしまう場合があるのです。
とはいえ、兄弟姉妹という関係性であれば、何とか話し合いで解決できるかもしれません。しかし、当事者が亡くなり、その配偶者や子どもが相続人となると、相続人同士の関係が薄れていきます。
そして、共有者が増えれば増えるほど意見の調整が難しくなり、最終的には収拾がつかなくなる場合もあります。
「そのときは売ればいい」と思うかもしれませんが、共有不動産を売却するには共有者全員の同意と署名・捺印が必要です。それは簡単なことではありません。
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