有料会員限定

新興企業の依頼が相次ぐ「EVOファンド」。業績不振企業の増資も臆せず引き受けるその実像とは

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

同グループを率いるのは、マイケル・ラーチ会長だ。米投資銀行に勤務した後、01年にエボ社を立ち上げた。EVOファンドはラーチ会長以外の出資者はおらず、基本的に自己資金で運用している。

EVO関係者は同社の利益源として、「年に1回くらいある有利発行」から抜けるサヤを挙げる。有利発行とは、第三者に割り当てる新株の発行価額が市場の株価より1割以上低いような、既存株主に不利益となる増資だ。「半年以内に資金調達しないと上場廃止や債務超過になるという会社はとにかく金が欲しい。発行価額はいくらでもいいからと言ってくる。うちもリスクがあるので低い価額で引き受ける」(同関係者)。

フルッタフルッタが20年1月にEVOに割り当てた新株予約権は典型例だろう。フルッタフルッタは当時、債務超過に陥り上場廃止の瀬戸際にあった。

新株予約権はあらかじめ定めた行使価額で新株を取得できる。引受先は市場より安く株を手に入れる機会を得られ、企業は予約権を行使してもらうことで増資できる。フルッタフルッタが割り当てた新株予約権の行使価額は1株50円。直近の株価は355円で8割超のディスカウント価格だった。予約権は約半年で行使され、発行済み株式数は4倍近くになった。希薄化率は296%。上場廃止基準の300%すれすれだった。

救済に伴う制約条件

フルッタフルッタのような企業にとって、EVOは救いの手を差し伸べてくれる存在だ。ただ、救いには「かせ」が伴う。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD