
丸木 強(まるき・つよし)/ストラテジックキャピタル 代表取締役。1982年東京大学法学部卒業。野村証券を経て、1999年M&Aコンサルティング(現MACアセットマネジメント)創業に参画。2012年ストラテジックキャピタル設立(撮影:今井康一)
市場改革の推進や株主の攻勢によって、日本の上場企業は大淘汰の波にのみ込まれている。本特集「上場企業クライシス」では、激変期に突入した資本市場の今をリポートする。
ストラテジックキャピタルの丸木強代表は、親会社も子会社も上場する「親子上場」は少数株主保護の観点から問題があると断言する。
ストラテジックキャピタルの丸木強代表は、親会社も子会社も上場する「親子上場」は少数株主保護の観点から問題があると断言する。
――親子上場を続けている会社はいまだに多く存在します。
少数株主の利益を毀損させる親子上場はすべきでない。子会社の株式を50%程度しか持っていない親会社が、あたかも100%握っているかのように権限を行使している。子会社の常勤取締役の全員を送り込んでいたり、親会社に多額の現金を預けさせていたりすることだ。そもそも本当に企業価値を上げられるなら、子会社の株式をすべて持っておくはずだろう。
6月の株主総会では、日産自動車と日本製鉄に対して親子上場を見直すよう求める株主提案を行った。日産には日産車体という上場子会社がある。売上高の98%が日産向けで、実態は単なる組立工場だ。
今は日産のリストラの一環で、湘南工場の閉鎖が取り沙汰されている。これは日産車体の拠点だ。親会社の都合で工場が閉鎖されるなら、日産車体をいったん完全子会社化すべきだろう。
さらに言えば、湘南工場が閉鎖されると日産車体の国内工場は福岡だけになる。土地も建物も日産が持っている福岡工場で製造したものを、ほぼすべて日産向けに売っている。もはや独立した上場企業ではなく、日産の一部門ではないか。
――日鉄にも親子上場を問う株主提案を行いました。
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